約 1,545,022 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/5438.html
登録日:2011/09/23 (金) 02 49 16 更新日:2024/08/07 Wed 22 42 14 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 F計画 THE FINAL ODYSSEY ウルトラウーマン ウルトラマン ウルトラマンダイナ ウルトラマンティガ ダイナの前日譚 ティガの完結編 トラウマ 円谷プロ 前作との凄まじい温度差 劇場版 劇場版ウルトラマン 大人の特撮 後日談 愛憎劇 感動のラスト 映画 昼ドラ 村石宏實 特撮 空白の7年間 終始シリアス 賛否両論 長谷川圭一 長谷川圭一の本気 風評被害 光か 闇か!? 3000万年ティガ伝説、 ついに完結!! 『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』は、テレビシリーズ『ウルトラマンティガ』の劇場版として2000年3月11日にソニー・ピクチャーズエンタテインメントによって公開された劇場作品。 ●目次 【概要】 【ストーリー】 【登場人物】GUTS&スーパーGUTS TPC ●朽ちた巨人達 【ウルトラマン】 【敵】『闇の巨人』 怪獣 【超古代文明の滅亡の真実】 【概要】 『ウルトラマンティガ』放送後から3年の月日を経て公開された、待望の『ティガ』単独の劇場版作品。 『ティガ』の劇場版を望む声はTVシリーズ放送時から多くあったそうだが、当時は『ウルトラマンゼアス2』が公開されていたこと、 そしてダイゴ演じる長野博氏のスケジュールを確保できなかった事もあってなかなか機会を得ることが出来ず、結果として『ウルトラマンガイア』放送終了後のある程度落ち着いた時期に制作・公開の目処が立つこととなった。 時系列的に『ティガ』の後日談かつ『ウルトラマンダイナ』の前日談にあたり、 ティガのTVシリーズでは語られなかった部分を補完しつつ、ダイナ最終章に大きく関わる『F計画』についても語られている。 しかし、登場人物の性格が改変されているように見受けられる所もあり、本編で断定的に語られた設定との矛盾点があることや、ストーリー自体も三角関係による昼ドラ的な愛憎劇になっているため、一部に批判されている。 だが、平成三部作で培ってきた映像技術や三体の闇の巨人、ティガの過去などの見所や、 TVシリーズ最終回の最後の展開を好まない等の理由で高く評価する人も多く、評価は人によってまちまちである。 良くも悪くも平成三部作で培ったものの集大成なので、あの頃のティガと違うのは確かではあり、長谷川氏もそれに近いことは言及している。 尚、超古代文明滅亡の原因がTVシリーズで説明されていた事と異なる点に関しては、長谷川氏によると番組開始直後の早い段階から考えられていた設定であり、TVシリーズで説明されていた方はあくまで副次的な理由のひとつとのこと。 ただし、あくまで「自分の中ではずっとそうだった」と断っているため番組全体の設定として確立していたものではない模様。 長谷川氏の中ではTVシリーズで語られたギジェラ出現含めた様々な要因が重なった上で最終的に今作で語られる滅亡を迎えたという事らしい。 余談だが、前2作(ゼアスシリーズも含めれば、4作)と異なり、単品で上映された。(これは次回作も同様) とはいえ、本編ではゼアスシリーズの併映を務めていたアニメ『ウルトラニャン』も着ぐるみでカメオ出演している。 本作のキャラクターなどは、後に『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』のモチーフとなった。 【ストーリー】 グリッターティガがガタノゾーアを倒してから2年後。突如、超古代遺跡・ルルイエが浮上し、TPCは調査に乗り出す。 GUTS隊長のイルマを含む調査隊は、遺跡内から三体の巨人像を発見。 かつてのティガの石像のように、これも『光の巨人』の石像だと喜び勇む調査隊だったが、その禍々しい気配を感じ取ったイルマはこれは封じておくべきと主張する。 しかし、調査隊は巨人像を運び出そうと作業を開始。 すると突如巨人達が復活、調査隊を襲い始める。 石像は『闇の巨人』だったのである。 そして、調査隊が消息を絶ってしばらくし、ダイゴの前に謎の女が現れ…… 【登場人物】 GUTS&スーパーGUTS ●マドカ・ダイゴ/ウルトラマンティガ(演:長野博(V6)) ご存知我らが主人公。 ティガの光を受け継いだ者。 ティガとしての戦いを終え、レナと結婚間近だった。 突如出現した闇の巨人達と戦うため、彼らから渡された黒いスパークレンスでティガに変身するが…… 本作での一人称は一貫して『僕』。 ●ヤナセ・レナ(演:吉本多香美) ダイゴともうすぐ結婚する予定。 闇の巨人の復活により一人決戦に向かうダイゴを見送った後、GUTSとして自分も決戦に向かう。 ●イルマ・メグミ(演:高木澪) 今作によってユザレとの関係が明らかにされる。 ●ムナカタ・セイイチ(演:大滝明利) 隊長がルルイエに向かう際にある物を渡す。 ●シンジョウ・テツオ(演:影丸茂樹) 今回は撃墜されないがスーパーGUTSの登場もあり、あまり目立ってない気がする。 妹のマユミ(演:石橋けい)も出るよ! ●ホリイ・マサミ(演:増田由紀夫) シビトゾイガーに襲われるが、間一髪シンジョウに救われる。 「人間舐めたらあかんで~!」 ●ヤズミ・ジュン(演:古屋暢一) ダイゴとレナのキスシーンを妨害する。 ●ヒビキ・ゴウスケ(演:木之元亮) 養成機関ZERO教官で、気合と根性をモットーとしている。 アートデッセイ号の窮地に後述する訓練生を引き連れて応援に駆け付ける。 敬礼ポーズは、もちろん訓練生ともどもサムズアップ。 ●コウダ・トシユキ(演:布川敏和) ●ユミムラ・リョウ(演:斎藤りさ) ●カリヤ・コウヘイ(演:加瀬尊朗) そんなヒビキの訓練生で、いずれも後のスーパーGUTSの隊員。 ●ナカジマ・ツトム(演:小野寺丈) TPCの研究スタッフで、ティガダーク変身後ルルイエから巻き起こった『闇』の現象を分析していた。 彼もまた後のスーパーGUTS隊員となる。 ●ミドリカワ・マイ(演:山田まりや) 都内で起こった『闇』をクラスメートと共に呆然と見上げていた。 この頃はまだ女子高生。 ●アスカ・シン/ウルトラマンダイナ(演:つるの剛士) 新たなる光を継ぐ者。 『頑張れよ。後輩』 TPC ●サワイ・ソウイチロウ(演:川地民夫) ご存じTPC最高責任者。 ルルイエ内に拉致されているイルマの身を案じ、救出に向かうGUTSにすべてを託す。 ●ナグモ(演:小西博之) 今回の事件の発端である警務局副長官。 ティガ消失後、ウルトラマンを科学的に研究し新たな地球防衛の戦力にする『F計画』を提唱した。 見ての通りバリバリのタカ派であり、「多少の犠牲を払ってでも我々は前に進むべき」という思想を持った超危険人物。 案の定、今回の事件収束後には責任を取らされて失脚しただけでなく、「F計画」の危険性も露見して逮捕されたようである。 ●サエキ(演:加納竜) そんなナグモの命を受け、貧乏くじを引いてルルイエ特別調査隊のリーダーとなったTPC隊員。みんなのトラウマでもある。 地味に妹がダイナ最終章で登場、彼女も『F計画』に関わることになる。 ●朽ちた巨人達 光を受け継いだ超古代の戦士の成れの果て。 多数存在し数多の脅威から地球を守っていたようだが、怪獣をあらかた倒したところで何らかの理由で巨人同士で戦い始めてしまい、結果として滅びてしまった。 よく見るとウルトラマンエース、ウルトラマン80、ウルトラマングレート、ウルトラマンパワードに似た者がいるが、関連書籍でもあくまでも「そっくりさん」扱いである。 巨人同士の戦闘場面ではウルトラマンダイナに酷似した巨人も確認できる。 (メタ的にはダイナの各タイプのスーツに装飾を付けて改造したもの) これらの巨人が第1話でゴルザとメルバに破壊された石像の一体の可能性もあるが、やはり詳細は不明。 【ウルトラマン】 ●ウルトラマンティガ(ティガダーク)(SA:長谷川恵司) ダイゴが黒いスパークレンスで変身した黒いティガ。 『闇の巨人』の中でも最強クラスの実力を有するそうだが、心が光であり、闇の力を否定するダイゴが変身したため、 十全にその力を発揮することが出来ず、また、光線技も(ティガダークの状態では)使用していない。 しかし、復活した『闇の巨人』達との戦いで彼らの力を光に変換して取り込んでいき、最後にはレナの愛の力でマルチタイプの力を取り戻した。 カミーラの言によると、三千万年前にティガダーク本人も同じ方法で『光の巨人』となったという。 ●ウルトラマンティガ(ティガトルネード)(SA:中村浩二) ティガダークが、剛力戦士ダーラムの必殺技「ファイアマグナム」を光の力に変換して取り込みチェンジした姿。 ティガダークの一部(マルチタイプの赤色の部分)が赤く染まっており、本来のティガのパワータイプに相当する形態。 「デラシウム光流」も使用できるが、完全に光の力を取り戻したわけではないため、パワータイプほどの能力は発揮できない。 ●ウルトラマンティガ(ティガブラスト)(SA:権藤俊輔) ティガトルネードが、俊敏戦士ヒドラの必殺技「ヒューガスト」を光の力に変換して取り込みチェンジした姿。 カラーリングはほとんどマルチタイプと同じになっているが、顔やプロテクターのライン等の一部が未だティガダーク同様に黒銀である。 本来のティガのスカイタイプに相当する形態で、「ランバルト光弾」を必殺技とするが、トルネード同様にその力はスカイタイプには及ばない。 【敵】 『闇の巨人』 三千万年前、ティガと共に超古代文明を滅ぼした三体の巨人。 強大な闇の力を持つが、闇を捨て光の巨人となったティガによって力を奪われ石像の姿になり、三千万年の間ルルイエに封印されていた。 世界を再び闇で覆い尽くそうとするもののユザレの結界でルルイエから百年間出られなくなってしまったため、 その封印を破ろうとティガの力を受け継ぐダイゴと接触、彼を仲間に引き入れようとする。 ちなみに三人とも巨人と人間、二つの姿を持っている。 ●剛力戦士 ダーラム(演:松田優/SA:中村浩二) 赤いボディが特徴の巨人。 粗暴で寡黙な性格。パワー任せの格闘戦が得意。巨人態・人間態ともにガチムチの巨漢で、人間態でも片手でダイゴを持ち上げたりする腕力の持ち主。 ダイゴ=ティガの事を「マイフレンド」と呼んでいたのでかつては仲が良かったのかもしれない。 ルルイエの海中遺跡にティガを引きずり込み追いつめたが、自身の力を吸収したティガトルネードのデラシウム光流により粉砕。 ●俊敏戦士 ヒュドラ(演:婆裟羅天明/SA:権藤俊輔) 青いボディが特徴の巨人。 冷酷で残忍な性格で、人間態は出る作品を間違えた風貌のモヒカン。素早い攻撃と空中殺法が得意で左腕の鉤爪から強力な光弾や突風を放つ。 劇中の言動を見る限り、ほかの二人と違ってあまりティガにはいい感情を持っていない様子。 まぁ、裏切られた相手に友好的に接する事ができる方がすごいので真っ当な反応ではあるのだが。 「夢幻空間ルマージョン」にティガを引きずりこみ圧倒するが、ティガブラストのランバルト光弾により粉砕。 コンドル怪人ではない。 ●愛憎戦士 カミーラ(演:芳本美代子/SA:梛野素子) 金と銀のボディが特徴の女性型巨人。 ヤンデレでかつての恋人であるティガに対する執着はすさまじい。 ティガを甦らせるべくダイゴに闇のスパークレンスを渡すが、彼が光の心を持ったまま変身したため敵対。 二人の巨人が倒された為、自ら金色のスパークレンスを使い変身しティガと戦う。 右腕からは鞭状に変化する光刃を生成、ティガを滅多打ちにする。 しかし、レナとの愛によって完全に光を取り戻したティガに対し憎しみが頂点に達する。 やがて倒されたはずのガタノゾーアの怨念と融合、そして…… 「あれが……、闇……」 怪獣 ●闇黒魔超獣 デモンゾーア カミーラとガタノゾーアの怨念が融合した姿。闇という概念そのもの。圧倒的強さを誇り、一度はティガに完勝する。 しかし、朽ち果てた巨人達の光によりティガがグリッターティガとなって復活し、ティガのゼラデスビームを受け消滅した。 ちなみに「超獣」と名乗ってはいるが単に「怪獣を超えた存在」という意味であり、ヤプール云々とは関係ない。 ●超古代怨霊翼獣 シビトゾイガー 小型のゾイガー。 人間を喰い、その人間に化ける事が可能。 劇場に来た観客のトラウマでもあり、その犠牲者の中にはダイナ最終章で登場した彼女の…… ●超古代怪獣 ゴルザ 回想シーンで少しだけ登場。よくみると強化版。 【超古代文明の滅亡の真実】 本編では、ユザレがダイゴの夢の中で語りかける描写しかなかったが、 本作ではパンフレットの「光と闇3000万年の戦い」というページに詳細が記載されており、そこで設定を知ることができた。 ただし、この設定も本編の脚本を執筆した長谷川圭一氏であるため、TVシリーズ本編で語られた設定と若干矛盾が生じる。 以下、パンフレットより引用。 栄華を誇っていた超古代の都。そこは理想郷(ユートピア)であり、人々は未来永劫の幸福を信じ、何の不安も苦しみもなく日々を生きた。 そこへある日、いずこより「闇」が来訪した。「闇」は恐ろしい怪獣たちを生み出し、都市を破壊、人々に恐怖と絶望を与えた。 しかし、超古代の人々の前に「光」が降臨した。「光」は戦士たちを選び、戦士たちと同化することで光の巨人へと変身する。 「光」は、人々に勇気と希望を与えていった。そして、戦う力も。光の巨人たちは、怪獣を次々と倒すのだった。 だが、光の巨人となった戦士のうち、4人が人の心に潜む「闇」により闇の巨人へと変貌した。 そして、すべての文明を破壊するために進撃する。 光の巨人は闇の巨人に立ち向かったが、その余りにも強力なパワーの前には成すすべもなかった。次々と滅ぼされていく文明都市。 次々と崩れ去っていく光の巨人たち。もはや超古代の地球には、混乱しかなかった。超古代文明は、ルルイエにわずかな痕跡を残すのみとなる。 しかし4巨人のうち、ダーク(ティガ)が正義の心と光の巨人の姿を取り戻し、闇の3巨人に戦いを挑み、勝利する。 生き残った光の巨人は闇の巨人を封印し、未来の人類に希望を託してその力を人の遺伝子の奥に刷り込んで永い眠りについた。 再び同じ悲劇が繰り返さないことを願って……。 この記述からもわかるようにティガ(また他の3巨人)も本来は、超古代の前に現れた光によって授けられて変身した光の巨人なのである。 ところが前述のとおり、本編においてこれらの描写が皆無に近かったため、 「ティガは元々闇の戦士であり、ティガダークこそが本来の姿」という誤解を多くのファンや書籍などの資料に残す事になってしまった……。 要はこの映画までに「光」→「闇」→「光」(ここまでTVシリーズ)→「闇」→「光」(劇場版)と立場を変えているということ。 ちなみに、テレビシリーズ本編でデシモ星系人やユザレやヌークらが発した言葉から、 最初に超古代へやってきた「光」は最初に来た「闇」が生んだ怪獣・闇の魔神とやらを倒した後、 古代人たちのために戦闘用の肉体だけを地球に残して宇宙へと旅立っており、 その後は肉体と融合した人間が、本編のダイゴと同じようにティガへと変身していたと思われる。 つまり、かつてのティガダークの変身者は、初代ティガこと宇宙に旅立った「光」ではなく、その肉体と融合した人間の誰かであり、 ティガダークへと変貌したのは、間違った心でイーヴィルティガと同化したマサキ・ケイゴのように、 変身者の精神が闇堕ちし、ティガの肉体がその影響を受けたせいではないかとする説もある。 もちろん、初代ティガも融合型の他のウルトラマンたち同様に、古代人と融合して怪獣と戦い、その脅威が全て退けられたと判断した後、 巨人側の精神のみが分離し、肉体は古代人に託して宇宙へ旅立ったという解釈も成り立つ。 危機的状況を脱したと判断した時点で古代人に力(肉体)を託し、精神のみ宇宙へ旅立ったとするなら、 宇宙へ旅立った精神こと初代ティガが悪く言われる理由はあまり見当たらないため、 闇の巨人封印後、未だ大変な状況の地球を放置して去って行ったとした方がおさまりはいいっちゃいい。 この場合、ウルトラマンが融合した人間の精神に引っ張られる形で共に闇堕ちしたという、なかなか珍しいタイプとなると思われる。 闇落ちして暴れていたカミーラ達に「光」からの干渉がなかったのは、ガイア/アグルのように完全に変身者の意思に任せるタイプだったパターンか、 闇落ちした時点で見放されて去って行ったか、全員初代こと巨人から力を託された人間、言うならば二代目以降の変身者だったかのどれかであろう。 ……なんにせよ、ダイゴがカミーラの元カレのやらかしたことのとばっちり受けたことに変わりはない。 頑張れる後輩は追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 小さい頃に見てめっちゃ感動した映画だ。 ただ、何人かのキャラの性格が少し違ったり、超古代文明壊滅の事実の後付け設定のせいでギジェラの設定がどっかにいっちゃったのが残念だね。もしくはスタッフがギジェラを忘れたとか。 -- DCD (2013-09-08 00 59 38) 石像達が倒れたティガに光を与えていくシーンが好き -- 名無しさん (2013-10-05 18 23 20) ダイゴとレナの惚気っぷりとかキスシーンとか見てて恥ずかしかった。 -- 名無しさん (2013-12-19 16 20 34) デモンゾーアって本編見ただけじゃグリッターティガ飲み込んだら光に負けて自壊したようにしか見えないよな。ティガが光線使ってたとか初めて知ったわ -- 名無しさん (2013-12-19 16 26 40) 闇の巨人がダイゴにふざけて英語で呼びかけた事を理由に、ダメ映画呼ばわりされてたっけな、どっかの山本に。 -- 名無しさん (2013-12-30 21 20 41) 平成初の女性ウルトラマンにして、シリーズ初の悪の女性ウルトラマンでもあり、尚且つウルトラ史上最恐のヤンデレラスボスという凄まじい肩書きを持つカミーラさんだがもし復活したのが現代ではなく縄文時代だったら少年のアムイに復縁をせまったんだろうか? -- 名無しさん (2014-01-06 23 53 13) 映画としての出来はいいけど、あんまり明るい作風では無いのは確かかな~。 ティガが闇の巨人って話しも「え?」て思ったもんだ。 -- 名無しさん (2014-01-07 01 43 13) ↑CMで「光か?闇か?いま最終決着!!」も合わせて凄い興奮した俺は単純かも・・・ -- 名無しさん (2014-01-07 01 59 29) カミーラが何気にセクシーで好き。ダーラムとの水中戦も中々おもしろい -- 名無しさん (2014-01-07 11 20 53) ↑「Dear,my friend」ニヤニヤニヤニヤニヤニヤ -- 名無しさん (2014-01-07 23 13 57) 個人的にはBGMが凄く好きだな。グリッターティガ登場でかかる曲は今聴いても鳥肌もの -- 名無しさん (2014-01-07 23 56 33) ↑×6 アムイはダイゴとは血が繋がってないから多分ないと思う。むしろマホロバに……これも微妙だな。 -- DCD (2014-01-08 00 16 10) ガタノゾーアの怨念しぶといwさすが邪神と言ったところか -- 名無しさん (2014-02-10 15 43 44) この戦いを引き起こしたのって事実上初代ティガなんだよなぁ……他二人はともかく最後のセリフからするとカミーラは説得したらついてきてくれたかもしれないのに -- 名無しさん (2014-03-11 00 18 36) 初代ティガ「元カノの処理は任せたぞ…ダイゴ」 -- 名無しさん (2014-03-31 18 04 05) ティガダークの光線はどんなのだろうか? -- 名無しさん (2014-04-12 14 24 39) 闇の3巨人のデザインは悪トラマンの中でもかなりぶっ飛んでいて好きだな。 -- 名無しさん (2014-04-19 08 16 58) と言うか、カーミラの愛したティガはダイゴじゃなくてどっかに行った光の使者の方だよな。カーミラ的にはそれでいいんだろうか -- 名無しさん (2014-04-19 10 55 38) ↑容姿が瓜二つだったんじゃね? -- 名無しさん (2014-04-19 18 54 15) ↑×2 もしくはダイゴが生まれ変わりだったか -- 名無しさん (2014-04-26 12 37 36) ダイゴは光の因子を継いでるから、可能性はある -- 名無しさん (2014-04-26 12 42 04) 公開当時は、パンフその他を含めて、ガタノゾーアとデモンゾーアの関連性は触れられていなかったのさ。 -- 名無しさん (2014-04-26 18 07 41) あんまトラウマって程でもなかったな -- 名無しさん (2014-04-27 00 58 48) 最後の最後で少しだけ和解できたダイゴとカミーラのシーンも印象的で良いと思うし、アスカやヒビキ隊長が出てくるシーンは何度見ても「ウォーwww」ってなる。 そしてヒビキ隊長の「弾と根性が続く限り、撃ちまくれ!」がなんともらしい件www -- 名無しさん (2014-05-24 13 17 52) 巨人の戦争は、ギジェラ発生よりも前だと思う。巨人同士が争い、闇の巨人が光の巨人を倒し、文明を壊していく中でティガが目覚め、闇の三巨人を封印するも時すでに遅く、巨人同士の戦争により疲弊していった古代人がギジェラに負けて、結果的に文明が滅んだ…と、俺は考えてる。 -- 名無しさん (2014-06-01 21 50 55) 昼ドラマンティガ。 -- 名無しさん (2014-06-15 14 57 08) 確かダイナ似の巨人の声ってつるの氏の声だった気がしたけど自分の気のせい? -- 名無しさん (2014-09-13 20 53 44) 夢幻とはいえティガが子供を殺してしまうシーンが衝撃だった。 -- 名無しさん (2014-09-18 20 18 11) カミーラって女性型ウルトラマンでもトップクラスにセクシーだと思うの -- 名無しさん (2014-09-18 21 05 38) カミーラ、バックならいけそう -- 名無しさん (2014-10-11 00 06 16) ヒロジェネでは一番最初のステージで闇の巨人3人(+α)が始めたばかりのプレイヤーをお出迎えしてくれますwwwwww -- 名無しさん (2014-10-29 01 20 34) ↑実質的に主人公的なポジだもんな。初参戦だし優遇されてるんだろうか -- 名無しさん (2014-10-29 07 21 49) 改心前のマサキならティガダークの力を存分に発揮できたかもな -- 名無しさん (2015-03-24 14 50 52) カミーラ、ダーラム、ヒュドラの3人をよく見るとティガと同じ額にクリスタルがあるよね。ティガの数年後の物語であるダイナも額にクリスタルがあったけどダイナとティガの関係が気になるところ。 -- 名無しさん (2015-07-06 12 34 16) トルネード、ブラストが映画限定形態なのにも関わらず、光の力を発揮しきれないからと従来のパワー、スカイよりスペックが劣ってるという設定が好き -- 名無しさん (2015-08-05 23 47 04) ティガブラストを見てマルチタイプと勘違いし、「なんでゼペリオン光線使わないんだろう」と焦れてたのはいい思い出 -- 名無しさん (2016-01-03 14 13 54) ダーラム「ダイゴマイフレンド」 ダイゴ「僕はこんな奴知らない!」 -- 名無しさん (2016-01-05 06 51 51) ↑ガッデムカミーラに制裁のビンタを喰らうダイゴ -- 名無しさん (2016-01-05 22 08 05) ↑ムナカタの胸像をハンマーで叩き割ると中からダイゴの顔が出てくるのか -- 名無しさん (2016-01-05 23 29 28) 3000万年っばてティガは何気にウルトラマンの中で一番長寿なのでは? -- 名無しさん (2016-01-08 23 52 22) ↑3000万年は要らなくなった肉体(石像)を放置した時間で中身が代替わりしてるからそこをどう考えるかによるかな -- 名無しさん (2016-01-11 18 52 51) ムナカタがイルマに持たせたあのペンダント、ムナカタが「自分もこれに命を救われました」というセリフを表すように、よく見たら弾丸が当たった後がある -- 名無しさん (2016-02-26 15 08 09) 結構面白そうな映画なので今からDVD借りてきます。 -- 名無しさん (2016-03-19 07 53 28) ティガダークのデザインと配色がシンプルで綺麗にまとまっていて好き。 -- 名無しさん (2016-04-27 19 20 08) 参列者全員カミーラ 少女潰して赤い風船 サエキゾイガーは今見ても怖すぎる。 -- 名無しさん (2016-05-26 23 44 43) 巨人像の中に実はアグルがいるんだぜ…信じられるか? -- 名無しさん (2016-11-08 12 25 50) ウルトラニャンが居るwww -- 名無しさん (2016-11-08 12 33 00) エンディングをTake me higher にしたスタッフは有能&有能&有能。 -- 名無しさん (2016-11-15 15 22 59) ディア...マイフレンド... -- 名無しさん (2016-12-22 05 47 47) ↑首を掴み上げて投げとばすんじゃなくて優しくクレーンに引っ掛けるあたりとっても優しい筋肉さんである。 -- 名無しさん (2017-04-03 23 48 03) 先日ブラスパのウルレプ争奪戦があったけどTwitter見てたら「ブラスパ買う奴はティガアンチだから」ってツイート散見してんだけどこの映画そんなに評判悪いん? 本編も観たしFOも観たけどギシェラの件以外は別に良いと思ったんだけども。 -- 名無しさん (2017-06-18 15 48 59) ↑項目の概要のところが、そうかな。ティガ本編とはやっぱり作風は違うからね。ブラスパ買うやつはアンチってやつは単に言い掛かりだけど -- 名無しさん (2017-06-18 19 37 41) ↑ミ、ミーには一人で「○○は糞!!1」とか -- 名無しさん (2017-06-27 12 56 49) み、ミーには一人で「○○は糞!!1」と呟いてる方より肯定的でない意見を見かけたらすべて排除する方が異常に見える… -- 名無しさん (2017-06-27 13 01 43) 大怪獣バトルで、ティガとGUTSがガタノゾーアと戦った世界は少なくとも2つ以上存在することが確認されているので、本作とTVシリーズで矛盾が生じるのは実は直接繋がらないよく似た平行世界だからかもしれない -- 名無しさん (2017-12-29 13 42 30) 微妙に本編と設定とか違う部分があるのはティガの本編と少し違うマルチバースの別世界の可能性もありそうだな -- 名無しさん (2018-01-01 19 32 49) 脚本のミスとかじゃなくてそういうふうに考えた方がいいと思う -- 名無しさん (2018-08-28 20 45 13) ↑3闇の巨人たちが滅ぼしたパターンの世界とギジェラが滅ぼしたパターンの世界か -- 名無しさん (2019-03-04 20 08 35) この作品一番の被害者は公開時点で20歳になるのに(セリフ一言程度とはいえ)中学1年生の役をやらされた山田まりやだと思うwww -- 名無しさん (2019-06-03 01 24 11) カミーラの最後は切なすぎた。「光…私も…欲しかった…」悲しいセリフだ -- 名無しさん (2019-11-15 14 28 58) シンジョウが目立ってない?いや、十分活躍してたでしょ?ホリイのピンチを救ったり、カミーラを怯ませてティガ(ダイゴ)を応援したりと -- 名無しさん (2020-01-15 22 33 08) フュージョンファイトにまさかのダーク、トルネード、ブラスト参戦 -- 名無しさん (2020-01-16 03 14 08) ティガダークかっこいいけど三人にしたことはかなりヒドイと思うぞ。 -- 名無しさん (2020-11-12 08 54 57) カミーラ、ヒュドラ、ダーブラのアーリー -- 名無しさん (2020-11-26 10 03 00) ↑誤送信につき続き アーリースタイルも見てみたい -- 名無しさん (2020-11-26 10 03 46) ↑2 間違えた… 誰だよダーブラって… ダーラムだ -- 名無しさん (2020-11-26 10 05 43) 来年の列伝系列の番組の写真にティガダークがいる…この作品も連続放送されるのか!? -- 名無しさん (2020-11-29 11 39 48) 日本語的に間違っているわけじゃないけど「この映画『までに』「光」→「闇」→「光」→「闇」→「光」と立場を変えている」という表記は少し紛らわしい気がする。執筆した方は当然「この映画を含む」というニュアンスで書いたんだろうけど「までに」というと「(当作品の開始時点)までに=劇場版中の時間は含めない」とも読めちゃうし。もともと分かりにくい設定の解説だから「光」→「闇」→「光」(ここまでがティガ本編)→(劇場版)「闇」→「光」と書いた方がわかりやすいような -- 名無しさん (2020-12-17 00 07 53) 英語が喋れたのは石化してる間にも何らかの力で知識を吸収してるからとか考えてもいいと思いますよ山本さん -- 名無しさん (2021-01-16 10 42 10) キスシーンが結構生々しかった記憶 -- 名無しさん (2021-09-08 00 01 08) あまり言われないけどダイゴが本作で使用した黒いスパークレンスは最終戦後も消えたか不明だとか、もしかしたら沈む島から逃げる時に変身して脱出してエピローグまでに何処かに収納されてたりして -- 名無しさん (2021-10-04 22 54 22) ↑2闇の巨人達と会話した現代人ってダイゴとイルマ隊長だけじゃなかった?二人ともカミーラの名前が出たり闇の巨人だと気付いたりと、前代ティガやユザレの記憶を微妙に継いでいるみたいだから言語も自動翻訳してたんじゃね。もしかしたら現代人ではなく古代人同士でなら記憶や意識も引き継いでいたのかもね。 -- 名無しさん (2022-01-25 02 08 44) 古代文明が滅んだのはギジェラのせいでもあるし闇の巨人のせいでもあるっていうことみたい。別に一つの要因だけで滅んだわけじゃないって事だな(脚本家談) -- 名無しさん (2023-02-17 19 18 28) しんのすけ「女を殴る男は最低だって母ちゃんが言ってたゾ!!」 -- 名無しさん (2024-06-18 23 39 39) ↑首領が女でも倒さなきゃ世界大変な事になるんだよ。状況を考えようね -- 名無しさん (2024-07-03 19 37 10) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/cthulhuworksmemo/pages/29.html
作品情報 作品形式 小説 作者 小中千昭 出版社 早川書房 初版発行日 2019/6/20 特撮番組『ウルトラマンティガ』のストーリーを再構築した小説作品。 神話要素 原典の『ティガ』自体が最終話はクトゥルフ神話要素を含んでいる。 小説独自の要素としては「無名祭祀書」からの引用とする文章「大いなる黒き者の助詞」から物語が始まる。 + 大いなる黒き者の助詞 言及される存在 最初に遠い星々から移り滅んだ種族 暗黒の王、旧支配者たる神 「黒の者」(ダーク・ワン) 「黒の者」の眷属 〈地球人〉 過去に地球に訪れた種族とは異質な宇宙からの移民。 暗黒の王に近しい種族 人間に近い意識や考えを持ち抽象的な〈悪魔〉という存在として人類に溶け込む。 同著者の『深淵を歩くもの』に登場した勝見、浅黒い膚の男について言及される。 H・P・ラヴクラフトについて言及され、超古代遺跡の通称「ルルイエ」は彼の著書からの引用とされる。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/982.html
ティガれみりゃ ======================== ≪はじめに≫ 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 ややパロディネタが多めかもしれません。 自分設定有りです。 虐め……というのとは少し違うかもしれません。 続きものです。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 ======================== 1、絶対強者 「うーうー!」 小高い山を越え、うーぱっくの群れが空を飛ぶ。 その数は30を越え、それぞれ背中にゆっくり達を載せている。 自慢のダンボールは、パンパンに膨れあがっており、 うーぱっくは、汗らしきものを浮かべて、「うぅーうぅー」と肩(?)で息をしている。 ダンボールの中には、人間達から盗んだ大量の野菜や、お菓子がつめられていた。 「ゆゆっ! しかっりしてよね、うーぱっく!」 「そうだぜ! はやくしないと、まりさ達がドスに怒られちゃうんだぜ!」 自分達は何もせず、うーぱっくに注文を出す、ゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 人間から盗みを働いた首謀者達だ。 「う~っ!」 力を振り絞り、岩山を越えていくうーぱっく。 すると、岩山の向こうには、直径500mほどの窪地が広がり、 無数のゆっくり達が、ゆっくりしていた。 「う~♪」 すごい! うーぱっく達は感心した。 これだけの数のゆっくりが、ゆっくりできる場所は、そうそう無い。 岩山の中の窪地は、緑こそ少ないものの、 適度に草花がはえ、岩の隙間からは清水が湧き出ている。 また、岩と岩の間には無数の洞窟があり、そこに入れば雨風も防げそうだ。 なにより、山間のこの窪地は、教えて貰わなければちょっと発見できそうにない。 他の捕食種とよばれるゆっくりや、野生の動物からも容易に身を隠せるだろう。 「うっうー♪」 れいむを背中に乗せ、先頭を飛ぶうーぱっくが、 後ろを飛ぶうーぱっく達にかけ声を飛ばす。 目的地が見え、「うーっ♪」と応えてテンションを上げる、うーぱっく達 これだけの群れに、これだけの量の食料を運ぶのは、 うーぱっく達にとっても初めてのことだった。 "頼まれ物を運んで、お礼をもらう" この習性を、自分達にしかできない大事な仕事だと考えるうーぱっく達にとって、 今回の依頼は、大変きわまりなかいものだが、それでも充実感を覚えていた。 「ゆっ! ドスまりさだ!」 嬉しそうに叫ぶれいむ。 うーぱっくが下を見ると、巨大なゆっくりまりさと、 その傍らにベッタリよりそっている、これまた巨大なゆっくりアリスがいた。 まりさは全長3メートルほど、 アリスもまりさほどではないが、ゆっくりとしては破格の2メートル級の体を持っていた。 俗に言う、"ドス種"。 ドスまりさと、クィーンアリスだ。 「おいっ、うーぱっく! ぐずぐずしないで早く下りるんだぜ!」 ドスまりさの所へ下りるよう催促する、まりさ。 余談だが、このまりさはまりさ種の中でも、タチが悪いとされている"ダゼまりさ"だった。 しかし、心優しいうーぱっく達は、まりさの横柄を気にとめず、 ドスまりさの前に、ゆっくりと着陸する。 『ゆゆっ! おかえり~! 食べ物は集まったの?』 巨大なドスまりさが口を開く。 「もちろんだよ、ドスまりさ!」 「そうだぜ! まりさ達の華麗な仕事っぷりを見せてやりたかったぜ!」 うーぱっくの背中からピョンと飛び降り、ドスの前で胸(?)を張る、れいむとまりさ。 実際、いちばん苦労したのはうーぱっく達なのだが、 このれいむ達にとって、そんなことは関係無い。 「もう! なにしてるの、うーぱっく! はやくれいむ達のご飯を、ドスに見せてね」 「うー!」 うーぱっく達は、ガサゴソとダンボールの蓋を開き、 中に押し込められていた大量の食べ物を地面に下ろしていく。 『ゆぅ~っ! すごぉ~い!』 『それでこそ、とかいはのアリスとまりさの子供達よ!』 感嘆の声を上げるドスまりさと、クィーンアリス。 ちなみに、れいむもまりさもクィーンアリスの子供ではないのだが、 どうやらアリスの中では、愛しのドスまりさとの間にできた子供…という設定が完成しているらしい。 勝手な思いこみに違いなかったが、ドスまりさ自身、クィーンアリスには好意を持っていたし、 他のゆっくり達にとっても、強大なクィーンアリスに愛されることは、損ではなかった。 「さっそくみんなで食べようよ、ドスまりさ!」 れいむがピョンピョン跳ねて、ドスまりさを急かす。 そこに、体付きのゆっくりぱちゅりーが現れ、ワガママなれいむを戒めた。 「むきゅ! だめよれいむ。これは冬を越えるための大事な食料なんだから」 このぱちゅりーと、ドスまりさ、クィーンアリスは、子供の頃からの付き合いで、 3人で協力してこの場所をみつけ、この一大ゆっくりコロニーを築きあげたのだった。 ぱちゅりーは体が弱く、ドスまりさやクィーンアリスのように力は無かったが、 そのぶん知恵がまわり、この群れの参謀役を務めていた。 「ったく、ぱちゅりーはいつもケチケチだぜ!」 悪態をつく、まりさ。 『まぁまぁ、れいむやまりさも疲れているだろうし、一口だけ食べようよ? それで残りは冬支度に回す……ぱちゅりーもそれでいいよね?』 「……むきゅー。ドスまりさがそう言うなら」 「わーい! だからドスまりさ大好きぃー!」 喜ぶ、れいむとまりさ。 「なになに~ごちそう?」 「わかるよー。みんなで食べるよぉー」 「ちぃーんぽ!」 すると、いつの間にかこの窪地に住む他のゆっくり達も集まりだしていた。 皆、この御馳走のご相伴にあずかろうという腹づもりだ。 「むきゅ!そんなに食べたら……」 『も~しょうがないなぁ。みんな一口だけだよ?』 止めようとするぱちゅりーを遮り、 群れのリーダーであるドスまりさが、許可を出してしまう。 「「「「いっただきまぁ~す!」」」」 言うや否や、何十匹ものゆっくりが、いっせいに食べ物にむしゃぶりつく。 「むーしゃむーしゃ♪」 「なにこれ、めっちゃうめぇ!」 「しあわせぇ~♪」 ゆっくり達は、人間達から盗んできた御馳走を貪り食っていく。 既に"一口だけ"の約束が忘れ去られてしまっていることに、気を揉むぱちゅりー。 そして、気を揉む存在がこちらにも。 「「「うーうー!」」」 うーぱっく達だ。 食事に夢中なゆっくり達を囲み、催促するように鳴き声をあげる。 うーぱっく達は、頼まれた物を頼まれた場所に届け、 その御礼として食べ物を分けて貰うことで生態を成り立たせている。 これだけの量の食べ物を運んだのだから、相応の御礼を貰わなければつりあわない。 「ゆっ?」 「なんだぜ、うーぱっく! せっかくまりさ達が御馳走を食べてるのに!」 面倒くさそうに食べるを止め、小うるさそうにうーぱっく達を見る、れいむとまりさ。 「うーっ!うーっ!」 うーぱっくは、羽をパタパタと動かし、ゆっくり達が食べる御馳走を指差す。 うーぱっく達にもわけて~というアピールだ。 だが、そんなうーぱっく達に対し、れいむとまりさはバカにしたように目を細める 「見ろよれいむ、たかだか運び屋のぶんざいで、まりさ達の御馳走をねだってやがるぜ」 「おお、あさましいあさましい」 そう言うと、れいむとまりさは人間の家から盗みだしたお菓子をくわえ、 うーぱっく達の目の前で「むーしゃむーしゃ」と食べ始めた。 「「「うー!?」」」 驚くうーぱっく達。 目こそいつものニコニコ目だが、互いの顔を見合わせ少なからず動揺を露わにする。 そして、ゆっくりの中では、かなり頭の良い部類に入るうーぱっく達は、一つの結論を導き出す。 すなわち、このゆっくり達は、最初から自分達をいいように利用して騙すつもりだったのだと。 「「「うーっ!」」」 一同、抗議の声を上げるうーぱっく達。 温厚なうーぱっく達だが、契約不履行の不届き者には、相応の態度を見せる。 羽を動かし、ペチペチとれいむとまりさの頬を叩き、驚いた隙に食べ物を奪い去る。 「ゆゆっ! なにするの!」 「やめるんだぜ! それはまりさ達のものだぜ!」 「「「うーうー!」」」 構わず、同じようにペチペチとゆっくり達の頬を叩いては、食べ物を奪っていくうーぱっく。 ニコニコと笑ったままのその顔が、逆に恐ろしい。 「ゆっくりやめてね!」 「それはとかいはのアリスのものよ! いなかもの!」 「わからないよー!」 「ゆっくりできないうーぱっくは、ゆっくりいなくなってね!」 うーぱっく達の正当な抗議に、不満を叫び出すゆっくり達。 だが、空を飛び、しかも団体行動になれているうーぱっく達の連携に、 食べ物は次々奪われていく。 「「「ゆぅぅ~~! ドスまりさぁ~~!!」」」 たまらずドスまりさを呼ぶ、ゆっくり達。 そのドスまりさといえば、クィーンアリスとともに自分の食事をするのに夢中であった。 『……ゆぅ~~~? どうしたのみんなぁ?』 言われるまで気づかないというのが、いかにもゆっくりらしい。 ドスまりさは、しばらく間を置いてから、ようやくゆっくり達に呼ばれていることに気が付いた。 『ゆゆぅぅぅっ! なにしてるのうーぱっく!!』 その光景を見て、驚くドスまりさ。 自分の群れのゆっくり達が、うーぱっくに虐められ、 苦労して集めた御馳走を横取りされているではないか! ……と、ドスまりさのゆっくり脳は瞬時に都合良く解釈した。 しかし、いかなゆっくり脳の持ち主とはいえ、 くさっても巨体と長寿を誇るドスまりさ。 こうなると群れを率いるリーダーとして、都合良く燃え出すのであった。 『ゆぅぅぅっっ!』 「う~?……うぎゃ!」 ドスまりさは、ぐにょんと体を下に押し込めたかと思うと、反動をつけて前方にとび跳ねる。 そして、目の前にいたうーぱっくに体当たりをしかけ、窪地の周囲の岩壁に叩きつけた。 「「うーっ!?」」 驚いたのは、うーぱっく達。 通常、ドスまりさは巨体に見合った経験と知識も併せ持っており、 今回の件の非がどちらにあるかは、自ずとわかってもらえると期待していたのだ。 『うーぱっく! まりさの仲間を一方的にいじめるなんて、絶対にゆるさないよ!』 「「ううーーー!??」」 全然、期待通りにはいかなかった。 戸惑い、慌てるうーぱっく達。 「むきゅ! まりさ、うーぱっく達は……」 『ぱちゅりーは黙っていてね! まりさはみんなを守るよ!』 うーぱっく達の抗議の理由を知るぱちゅりーが、ドスまりさを止めようとするが、 変な使命感のスイッチが入ってしまったドスまりさは止まらない。 このドスまりさは、確かに長い時間を生き、ドスの名にふさわしい巨体と力を得ていた。 だが、本来一人で生きて得るはずの知識や思慮を幼なじみのぱちゅりーの頼りっぱなしにしてきたため、 どうにも考えの足りないドスまりさになってしまっていた。 「「うーっ!」」 だが、うーぱっく達は、そんなことは知らない。 羽を動かし、自分達が運んできた食料を指す、うーぱっく。 なんとか自分達の誤解をといて、わかってもらおうとする。 『……わかったよ、うーぱっく』 「「うー♪」」 『うーぱっく達は、まりさ達を騙して食べ物を横取りするつもりだったんだね!』 「「うううーっ!???」」 全然わかってなぁーい! うーぱっく達は、全員が同時に心の中でツッコミの声をあげる。 『まりさ達をゆっくりさせないうーぱっくは、ゆっぐりじねぇぇぇぇぇっっ!』 ドスまりは天高く舞い上がり、その巨体を地面に叩きつける。 何匹かのうーぱっくが、その巨体の犠牲となる。 「「ううーっ!」」 これ以上ここにいてはいけない! うーぱっく達は身の危険を感じ、一目散に空高くへ舞い上がる。 「「うわぁぁーん! ドスまりさなんてきらいぃぃー!」」 自分達の誇り高い仕事が失敗に終わったこと、 つらい時も楽しい時も一緒だった、大事な仲間を失ったこと、 うーぱっく達は、目から涙を流して飛び去っていく。 だが。 『逃がさないよ!うーぱっく!……ひぃぃ~~~~っさつ!』 ドスまりさは、大きな口を思い切り開く。 すると口の中から淡い光がもれはじめ、瞬く間にまぶしい程の輝きを放ち始める。 「ゆゆっ!出るよ、ドスまりさの必殺技!」 「やっちゃうんだぜドスまりさ! バカなうーぱっくどもに身の程わからせてやるんだぜ!」 『すてきよぉぉまりさぁぁぁ!』 「む、むきゅう~!だ、だめよぉ、まりさぁ!」 事情を理解しているぱちゅりーを除いて、俄然もりあがるゆっくり達。 クィーンアリスに至っては、ドスまりさの勇姿に目をトロ~ンとさせている。 『ひっさつ!ドスパァァァーク!!』 「う、ううぅぅぅぅぅーーーっ!」 叫ぶと同時にドスまりさの口からレーザーが発射される。 そのレーザーは空を切り裂き、泣きながら逃げ去るうーぱっく達を直撃した。 超高温のレーザーは、ダンボールでできたうーぱっくの体を一瞬で焼き尽くし、 そらからは燃えかすとなったうーぱっく達がボトボトと地面に落ちていく。 「「「ゆぅぅぅ! すごぉぉぉーい!」」」 その圧倒的な威力に、群れ全体から感嘆の声があがる。 ドスまりさは群れのゆっくり達にむき直り、誇らしげに胸(?)をはった。 『みんなのことはまりさが守るよ! だから安心してゆっくりしてね!』 「「「ゆっくりぃぃ~~~♪」」」 喜びの声をあげるゆっくり達。 ただ一人、ぱちゅりーだけが浮かない顔して、岩の隙間の洞窟へと入っていく。 「むきゅう……」 今回の件の非は、あきらかにこちらにある。 なにか悪いことが起きなければよいけれど……。 その不安からか、ぱちゅりーは体に疲れを覚え、洞窟の奥で眠りについた。 けれど、このぱちゅりーの予感は、すぐに当たることになってしまう。 数時間後。 空には満月が登り、本来ならばゆっくり達も眠りにつく頃。 だが、山間の窪地では、いまなお多くのゆっくり達が食べや歌えやで大騒ぎをしている。 「ゆっゆっゆっ~~♪」 「だぜだぜだぜぇ~~♪」 『すごぉーい! みんなお歌が上手だねぇ!』 『さすがとかいはのアリスの子! 良いセンスをしてるわぁ!』 昼間の一件で、すっかりテンションの上がってしまったドスまりさの群れは、 あれからずぅ~と宴会を開いていた。 もはや、ぱちゅりーとの"冬の支度のために食べ物をとっておく"という約束は、頭の中になかった。 ゆっくり食べてはゆっくり踊り、ゆっくり食べてはゆっくり歌う。 「ゆゆゆ~~ゆゆゆ~~♪」 「だぜだぜ~~だぜだぜ~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆっ?』 ドスまりさは疑問に思った。 今、群れのれいむ達の歌に混じって、何か聞こえたような? 「ゆゆゆゆ~ゆゆゆゆ~ゆっゆっゆっ~~~♪」 「だぜぜ~だぜぜ~だっぜっぜぇ~~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆゆっ!?』 「「「ゆゆゆっ!?」」」 やはりだ。 気のせいじゃない。 今度はドスまりさだけじゃなく、他のゆっくり達にも聞こえたようだ。 ゆっくり達は、ひとまずバカさわぎを止め、あたりを見回す。 だが、本来夜の間は寝るのが"殆どの"ゆっくり達の生態のため、 ゆっくりの中で夜目が効く者はほとんどいない。 が、それにも関わらず。 ソレの存在はゆっくり達にもハッキリ視認できた。 『あれは、ゆっくりゃザウルス!!』 一番最初にみつけたクィーンアリスが叫び、それに呼応して他のゆっくり達もそちらを見る。 ゆっくり達の視線の先。数百メートルは離れた位置。 そこには、よたよたドタドタ踊るようにステップを踏み、ゆっくり達に近づいてくる不思議な生物がいた。 長生きをしていたクィーンアリスと、ドスまりさは、己の経験に基づきその生物をこう認定した。 あれは、ゆっくりゃザウルスだと。 ゆっくりゃザウルス。 それは、代表的な捕食種・ゆっくりれみりゃの亜種である。 亜種という意味では、昼間ドスパークの餌食になったうーぱっく達もそうだが、 近年比較的多く見かけるようになったうーぱっく達と異なり、 ゆっくりゃザウルスは、非常に見かけるのが希な亜種……即ち希少種であった。 その姿は、人間からみれば愛らしくも映る。 体つきのゆっくりれみりゃが、ダボダボくたくたの恐竜の着ぐるみを纏ったような姿。 それが、ゆっくりゃザウルスの特徴だった。 ずいぶんとディフォルメされた緑色の恐竜の、大きく開かれた口から、 れみりゃ種特有の「うーうー♪」という下ぶくれ気味の笑顔が覗いている。 体は筋肉質とは程遠く、まるでクッションかヌイグルミのような柔らかさで、 お腹のあたりに、有袋類…といえば聞こえが良いが、どう見ても縫いつけたような大きなポケットがある。 「ゆゆゆゆ~!大変だよ!れみりゃだよ!」 あれが、自分達を食べる捕食種の一種だと知り、慌てるれいむ。 「ま、まりさはおいしくないぜ! たべるなられいむの方がおいしいんだぜ!」 「どぉじでぞんなごどいうのぉぉぉーーっ!?」 にわかに群れに広がるパニック。 だが、ドスまりさがそれを鎮める。 『大丈夫! 安心してよみんな!』 「ゆゆっ?」 「わかるよ~! こっちにはドスまりさがいるんだよ~!」 『まりさとアリスにとって、ゆっくりゃザウルスなんて敵じゃないよ!』 そう言って笑顔を向けるドスまりさ。 「なんて頼もしいんだ!」群れのゆっくり達は、ドスの笑顔に安心して落ち着きを取り戻す。 『まりさとアリスは、もっと小さき時に……それこそみんなと同じくらいの時に、 ゆっくりゃザウルスを倒したことがあるんだよ♪』 「「「すっごぉ~~~い!」」」 再びあがる感嘆の声。 それを誇らしげに受け止めるドスまりさ。 ドスまりさの言ったことは確かに事実であった。 ……もっとも、ゆっくりゃザウルスのことを良く知るものが聞けば、 それが大した自慢にならないこともわかるのだが。 ゆっくりゃザウルスは、確かに希少種だ。 だが、希少なのには理由がある。 すなわち、ゆっくりゃザウルスは、れみりゃ種の中でも"最も弱い"種類だからだ。 亜種の多い、ゆっくりれみりゃだが、一応それぞれに進化と思われる特徴を持っている。 体が無く、耳のあたりに羽をつけているタイプは、れみりゃ種の中でも最もバランスが良い。 飛行能力も高く、蝙蝠やイルカにも似たエコーロケーション能力を持っており、 暗い場所でも自由自在に動くことができる。 うーぱっくは、敏捷性や攻撃能力では上記のれみりゃに劣るものの、 そのぶん他の物(者)を上に載せて飛ぶ能力にすぐれている。 また、協調性に優れ、ゆっくり達の運送屋さんとしての地位を確立することで、 自然界の中で主立った敵を作らず、共生関係を築き上げていた。 胴体と四肢のついたれみりゃは、紅魔館のすぐそばでよく見かけられる。 重たい体がついたのが逆効果となり、飛行能力・運動能力は明らかに低くなっているが、 それでも(極めて不器用ではあるが)手足が使えるメリットは大きいし、 なにより紅魔館の主の姿と似ているために、館のメイド達から寵愛を受けられるという面もある。 ……では、ゆっくりゃザウルスはどうか? 悲しいかな、これといって優れた点が無いのだ。 背中から羽は失われ、空を飛ぶことはできない。 手足や指先は恐竜のヌイグルミ状になっているため、細かい作業も全くできない。 ずんぐりむっくりした体は重たく、生きる上で極めて燃費効率が悪く、すぐ疲れてしまう。 おまけに、なまじ体が重くなったぶん、本人は強くなったと勘違いし、無駄に気が大きくなる傾向がある。 では、なぜそんなにも不都合だらけのゆっくりゃザウルスへと姿を変える必要があるのか。 それは、ゆっくりの研究者達の間でもまだ解明されていない。 いずれにせよ、そんなゆっくりゃザウルスであるが故に、 本来獲物であるはずのゆっくり達に、逆に返り討ちにあってしまうこともままあるのだ。 まして、ドスまりさとクィーンアリスからみれば、 逆に向こうから美味しい肉まんがやって来たようなものだ。 「ティ~ガティガティガ♪」 歌いながら、えっちらおっちら満面の笑顔で歩いていくるゆっくりゃザウルス。 その声が、徐々にはっきり聞こえてくる。 『ゆぅ~♪ みんな、今日はおいしい肉まんがたべられるよ♪』 「「「わぁ~~い♪」」」 余裕のゆっくり達。 しかし、その余裕がゆっくり達に、本来気付くべき疑念を忘れさせてしまっていた。 なぜ、数100メートルも先のゆっくりゃザウルスを、夜目の効かないゆっくり達が見えているか。 なぜ、まだまだ遠くにいるはずのゆっくりゃザウルスの歌が、こんなにもハッキリ聞こえるのか。 そして、なぜゆっくりゃザウルスが近づいてくるたびに、地面がドシンドシンと揺れるのか。 数秒後、ゆっくり達は嫌がおうにも、その理由をわからされることになる。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 「「「『ゆげぇっ! お、おおきぃぃぃぃっっっ!!??』」」」 目の前まで来て足を止めたソレを見上げ、一同に驚愕の叫びをあげるゆっくり達。 ドスまりさとクィーンアリスさえ、呆気にとられてソレを見上げている。 身長はゆうに10メートルを越え、尻尾の部分をあわせた全長は20メートルにも届かんほどだ。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~♪』 ソレは、自らがれみりゃ種であることを示すように、自らの存在を知らしめるように、 両手を顔の横に上げ、れみりゃ種特有の"れみりゃダンス"を行った。 「「「ゆゆゆゆっ!」」」 ソレがダンスのステップを踏む度、地響きが起こり、小さなゆっくり達を震えさせる。 『や、やめてよね!ゆっくりゃザウルスのくせに、まりさ達をおどかさないでね!』 ぷく~と頬を膨らませ、見上げるソイツに告げるまりさ。 一方、そのれみりゃは不思議そうに、首をひねった。 『う~? ゆっくりゃザウルス?』 『そうだよ! おまえのことだよ! 自分のこともわからないなんて、ゆっくりゃザウルスは本当にバカなんだね!』 『うーうー! れみりゃはぁー、ゆっくりゃザウルスじゃないどぉー♪』 『え?』 『れみりゃはぁ~♪』 にぱぁ~☆と満面の笑顔を浮かぶ。 『ティガれみりゃだどぉー♪』 そう、この巨大なれみりゃは、ゆっくりゃザウルスではなかった。 圧倒的な巨体と力を持つ、ドス種を越える超巨大・突然変異ゆっくり、ティガれみりゃだったのだ! 『……ティ、ティガれみりゃだなんて知らないよ! バカなれみりゃはおとなしくまりさ達に食べられてね!』 巨体にプレッシャーを感じつつ、あくまで虚勢を張るドスまりさ。 他のゆっくり達も、ドスまりさなら負けるハズないと、徐々に落ち着きを取り戻していく。 「そうだよ! ばかなれみりゃはゆっくり死んでね!」 「ドスが、おまえなんかに負けるわけないんだぜ!」 ゆっくり達が、わーわーと騒ぎ立てる。 それ見回してニコニコするティガれみりゃ。 『うー♪ おいしそうなおまんじゅうがいっぱいだどぉー♪』 そう言うと、ティガれみりゃはクィーンアリスを片手で掴み上げ、口の前へと運ぶ。 『ゆぅ!?』 「クィーンアリスが!」 「おとなしくアリスを離すんだぜ!」 あっさりつかまってしまった群れのナンバー2に、ざわめくドスまりさとゆっくり達。 当のクィーンアリスは、頬を膨らませて、ティガれみりゃを罵っている。 『これだからマナーを知らないいなかものは! とかいはのアリスにこんなことしてただですむと思わないでね!』 そんなアリスをじぃ~っと見つめて観察するティガれみりゃ。 『うぅ~♪ よくみるとぶさいくなおまんじゅうだどぉ』 『ゆぎぎぎぃぃぃぃぃっ! とかいはのアリスに向かってよくもぉぉぉっ!』 逆上するクィーンアリス。 対するティガれみりゃは…… 『うー♪ うるさいおまんじゅうだどぉ♪』 と言ってから、そのまま「あ~~ん」と大口を開け、クィーンアリスにかぶりついた。 『ゆげぇぇぇぇぇえ!』 『あ、アリスゥゥゥッッッ!!』 たまらず断末魔を上げるクィーンアリスと、ドスまりさ。 クィーンアリスの体はたった一口で半分がえぐりとられ、その生命活動を停止させた。 『う~♪ がじがじ~♪』 そのまま美味しそうにクィーンアリスの残骸を食べ続けるティガれみりゃ。 2メートルあった、クィーンアリスの体も、数秒で消滅してしまった。 『うっうー♪ おいしかったどぉー♪』 舌をペロリと回し、口の周りについたクリームを舐めとるティガれみりゃ。 その光景を見ていたドスまりさの怒りは、既に限界を遙かに超えていた。 『ゆぎぎぎぎぎぎぎ……ゆ、ゆるさないっ、ぜぇったいにゆるさないぃぃぃぃっ!!!!!』 『う~?』 『ゆっぐりじないでじねぇぇぇぇぇぇ!!!!!』 「で、でるぜ! ドスの必殺技!」 『ドスパァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーク!!!!!!!』 ドスまりさは口を開け、高温のレーザーを放つ。 怒りにまかせて全ての力を結集したそれは、昼間うーぱっくを仕留めたのとは比較にならない程の出力となる。 夜の闇を、貫くドスパークの光。 これを受けて無事なゆっくりなどいるはずがない。 いや、人間はおろか妖精や妖怪とてただでは済むまい。 『……うぅぅぅぅぅ! アリスぅぅぅぅ、かたきはとったよぉぉぉぉぉ!』 嗚咽混じりで天に吠えるドスまりさ。 誰よりキレイだったクィーンアリス、彼女はお空のお星様になってしまったんだ。 ドスまりさとゆっくり達はそう思い、ドスパークの衝撃で巻き起こった土煙の先、 クィーンアリスのお星様を見ようと、夜空を見上げようとする。が。 『う~? なんかあったかいどぉ~…なんだか汗かいちゃったどぉ~♪』 「「「『ゆ、ゆげぇぇ!?』」」」 見えるハズのお星様が見えず、 見上げた先には、変わらずティガれみりゃが立っていた。 その体には傷一つなく、下ぶくれの笑顔に少し汗をかいているだけだった。 『どぉじでぇぇ! なんでドスパークがぎがないのぉぉぉぉぉっ!!??』 『う~、汗かいたら、またおなかすいちゃったどぉ~♪』 ティガれみりゃは、おなかのあたりをおさえ、少し頬を紅潮させた。 "こーまかんのれでぃーである"という自負からなのか、 食べてすぐ、またおなかをすかせることが恥ずかしいようだ。 とはいえ、そこはゆっくり。 恥じらいよりも、まずは欲求に従う。 そこはティガれみりゃといえど、変わらなかった。 『ぎゃぉー♪ いっただきまぁーす♪』 『ゆべぇ!!?? 、は、はなじてぇぇぇぇ!!!』 「「「どどどど、ドス!?」」」 足下ではねまわるドスまりさを難なく掴み上げると、口の前に運ぶティガれみりゃ。 『がじ、がじ、がじぃ~♪』 『ゆべっ!うげぇ!ゆぶぁ!!』 みるみるドスまりさの体は小さくなっていき、 10秒もたたずに、全てティガれみりゃの口の中に消えていった。 『う~、おいしぃ~♪』 「「「…………」」」 あまりにも信じられないことが起きた時、人は一切の思考が働かなくなる。 それは、ゆっくり達にもあてはまるらしい。 なすすべ無く食べられるドスまりさを目の当たりにした無数のゆっくり達は、 ただ無言のまま固まってしまっていた。 一方、ティガれみりゃはというと、お腹についたポケットの中に手をつっこみ、 何かをゴソゴソと取り出した。 『うっう~! すぴあ☆ざ☆ぐんぐにる~♪』 まるで、22世紀の猫型ロボットが便利道具を取り出すように、 ティガれみりゃはポケットから、引き抜かれた立ち枯れの木を取り出し、天に掲げた。 「「「ゆゆゆゆ!?」」」 誇らしげなティガれみりゃの様子に、本能的に身の危険を感じるゆっくり達。 金縛りをといて、それぞれ四方八方に逃げだそうとする。 『ぎゃおー♪ たーべちゃうぞぉー♪』 「「「ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁっっっ!」」」 ゆっくりプレイスだったハズの山間の窪地は、あっという間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 『れみりゃのおだんごぉー♪ とぉーってもおいしぃーどぉー♪』 ティガれみりゃは口ずさみながら、比較的大きめのゆっくりを摘むと、それを次々枯れ木に刺していく。 「「「ゆげぇ」」」 鳴りやまないゆっくり達の悲鳴。 あるゆっくりは岩陰や洞窟に逃げ込もうとするが、 ティガれみりゃは「うー、岩いらなーい!ぽいぽいぽぉーーい♪」と、 岩そのものを持ち上げどけて、隠れていたゆっくり達をつまみだした。 『うー、すごいどぉー! れみりゃは狩りの天才だどぉー♪』 やがて、そこそこ育って美味しそうなゆっくりを全て枯れ木に刺して、 ゆっくりだんごを完成させたれみりゃは、満足そうに自分を讃えた。 自分達は助かったのか? そう思った残りのゆっくり達は、おそるおそる隠れていた場所から外へでる。 『う~~~う~~~♪』 しかし、ティガれみりゃがリズムを刻みだしたのを見て、ゆっくり達は己の軽率さを憎み、 そして、短いゆっくり人生の終わりを実感するのだった。 『うっうーうぁうぁー♪ うっうーうぁうぁー♪』 どっすんどっすんと、喜びのダンスを踊るティガれみりゃ。 なんとかゆっくりだんごを逃れたゆっくり達も、あるものは踊るティガれみりゃの足や尻尾に潰され、 あるものは、ティガれみりゃのステップの影響で岩や土が崩落し、その餌食となった。 ゆっくり達の理想郷は、こうして壊滅した。 ……そう、一人の目撃者を除いて。 翌日。 ティガれみりゃの襲来をやりすごした目撃者。 その生き残りは、ティガれみりゃへの恐怖と、震えたまま動けなかった自分を呪い、 洞窟の奥から出ることが出来ずにいた。 「む、むきゅぅぅぅ……」 その生き残りの正体は、洞窟の最奥、もっとも地盤の安定した箇所に隠れていたぱちゅりーだった。 群れの全滅を嘆き、幼なじみのドスまりさとクィーンアリスの死を悲しみ、泣き続けるぱちゅりー。 昨夜、先に寝ていたぱちゅりーは、外が騒がしいのに気付き、一度は目を覚ました。 だが、外へ出ようとしたその刹那、ドスまりさがティガれみりゃに食べられるのを目撃してしまったのだ。 どうするべきか全くわからなくなってしまったぱちゅりーは、唯一残された生物としての本能、 すなわち"生き残る"という目的にのみ従って、こうして群れが全滅してティガれみりゃが去るまでの間、 隠れ続けていたのだ。 「むきゅぅぅぅぅ! むきゅうううううう!」 思い出しては、こみ上げる感情に逆らえず泣き崩れるぱちゅりー。 それから、また一日がすぎた。 朝日が山間の窪地を照らす中、ぱちゅりーは外へ出た。 その目に決意の炎を宿して。 二日近く考え抜いたぱちゅりー。 彼女は、ドスまりさ達の死を無駄にしてはいけないと考えた。 そして、生き残った自分だからこそ出来ることがあるはずだと結論づけた。 そう、他の群れにティガれみりゃという脅威を報せ、 ともに戦わなければならないと。 一方その頃、どこかの森で。 今日もティガれみりゃの歌が聞こえていた。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ2・異常震域』 ============================ (あとがき) 休日出社中、上司の机に『モンハン』のティガレックスのフィギュアが置いてありまして、 気付いたらこんなものを書き始めていました。……二次設定のSS書くの何年ぶりだろう(汗 「ゆっくり好き」+「れみりゃ好き」+「怪獣好き」+「モンハン好き」 そんな作者の妄執が具現化したようなSSですが、もし楽しんでいただけましたら幸いです。 ちなみに、言う必要も無いかもですが、ティガれみりゃの歌はアノ映画の歌が原型ですw ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/995.html
ティガれみりゃ その3 ======================== ≪はじめに≫ 『ティガれみりゃ』の続きになります。 時系列は、ティガれみりゃ1→ティガれみりゃ2→本作、となります。 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 パロディネタおよび、自分設定有りです。 今回のエピソードには、本家東方のキャラが出演予定です。 口調やキャラなど、壊れ気味かもですが、ご容赦あれ。 すみません、まだ続きます。 また、今回のエピソードは長くなってしまったので、前編後編に分割しました。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 ======================== 3、誇りをかけた試練(前編) 「ゆぐぅ……もっと…ゆっくりじだがっだ、よ……」 とある山の、とある森。 一匹のゆっくりれいむが、今まさに力尽きようとしていた。 あちこち皮が破け、その傷と口から大量のあんこを吐き出している。 しかし、この森に充満する甘い匂いは、このれいむだけが原因ではなかった。 「みんな……れいむもゆっくり……そっちへいくよ……」 れいむが語りかけた先、 れいむの眼前、左右、背後、 そこには膨大な量のあんこが飛び散り、地面や木に染みを塗りたくっていた。 所々にリボンや帽子の残骸が垣間見えるそれは、大量のゆっくり達の死骸であった。 赤ちゃんから、大人まで、原型をとどめないその数は200を越えていた。 「ゆぅ……くやじぃ、ょ……」 視界がぼやけ、意識が朦朧としていく。 そんな状態でなお、この惨状を生み出した元凶の影が、目に焼き付いて離れない。 耳をすませば、今なおアノ恐ろしい鳴き声と歌が聞こえてくるようだ。 その歌い手の主、たった一体のゆっくりによって、 れいむの家族も、友達も、喧嘩相手も、同じ森に住むまだ見ぬ同胞達も、 みんなみんな殺されてしまったのだ。 圧倒的な力で、抗いようの無い絶望を撒き散らしたそのゆっくりを、れいむは決して許さない。 その憎悪の炎だけが、れいむの命を辛うじてつなぎ止めていた。 ……もっとも、許すも許さないも、どうせ自分はこのまま死んでしまうのだろう。 ゆっくりのあんこ脳であっても、その事実だけはハッキリ認識できた。 「むっきゅーっ! まだ生きてるのね!」 「……ゆ、ぅ?」 聞いたことの無い声だった。 ゆっくりと目を開き、最後の力を振り絞り、声の主を見上げるれいむ。 そこには人間の少女に似たゆっくりが立っていた。 「大丈夫!? しっかりしてね!」 れいむを心配する少女。 よく見れば、少女もまたゆっくりであるようだった。 『ぱちゅりー、どうしたの?』 「むきゅ! まだ生きているれいむがいたのよ、まりさ!」 ぱちゅりーと呼ばれたゆっくり、 即ち胴体付きのゆっくりぱちゅりーの背後から、重たそうに跳ねて近づく巨大なゆっくり。 れいむはそれを知っていた。とっても強くて大きくて優しいゆっくり、ドスまりさだ。 それも一匹ではない。 二匹、三匹、四匹……次々とやってくる。 さらには普通のサイズのまりさやアリス、ちぇんにみょん、 何十匹ものゆっくりが、木々の隙間を跳ねてきた。 「ゆゆゆ?」 わけがわからなくなる、れいむ。 疑問と困惑があんこ脳を支配し、一時的に痛みも恐怖も忘れさせていた。 「むきゅー。もう大丈夫よ、れいむ」 ボロボロのれいむを優しく抱え上げる、ゆっくりぱちゅりー。 「ゆぅ……おねぇさんたち……だれ?」 「むきゅ! よくぞ聞いてくれたわ!」 ゆっくりぱちゅりーは、れいむを抱えたままドスまりさら仲間へ向き直る。 「わたしたちは、ゆっくりフォース!」 「ゆっ!?」 「ティガれみりゃを倒すために集まった、ゆっくりなれじすたんすよ!」 高らかに宣言する、ゆっくりぱちゅりー。 れいむは、力を振り絞って、ゆっくりぱちゅりーに懇願する。 「おねぇーさん、れいむをみんなの仲間にしてね! れいむもティガれみりゃを許せないんだよ!」 口からあんこを吐き出しながら、されど目には炎を宿して叫ぶれいむ。 ティガれみりゃと戦う上で、この傷だらけのれいむがどれほど役に立つかはわからない。 けれど、その気高いゆっくりマインドだけは、ぱちゅりーやドスまりさ達にも痛いほど伝わった。 なぜなら、その場に集まる殆どのゆっくり達が、ティガれみりゃの犠牲者だったから。 故に、そのれいむの申し出を断るゆっくりはいなかった。 ぱちゅりーを筆頭に、数多のゆっくり達が、れいむに歓迎の言葉をかける。 「「「「「ようこそれいむ! ゆっくりしていってね!!」」」」」 * * * 「うっめっ! むっちゃうめぇっ!」 「まんまぁぁぁーーっ!たしゅげでぇぇぇぇっ!!」 「やめでぇぇぇぇっ! れみりゃのあがぢゃんたべないでぇぇぇぇぇっ!!」 通称・ゆっくりフォースが、そのメンバーを増やしていた頃。 とある湖畔で、胴体付きれみりゃの親子が、複数のゆっくり達に襲われていた。 親だと思われるれみりゃが一匹、その子供が4匹。 親れみりゃは四肢をもがれ、地面にころがされている。 四肢の切り口は、強引に食いちぎられ、断面から肉汁があふれている。 その親れみりゃの前で、4匹の子供達はリンチされ、食い散らかされていく。 「むーしゃむーしゃ♪」 「なにこのにくまん!むっちゃうめぇ!」 「すっごくゆっくりできる味だぜ!」 れみりゃ達を襲っているのは、3匹のまりさ種だった。 それも、もっとも性悪といわれ、専門家達からがゲスまりさと分類される種だ。 「うわぁぁぁぁぁん! しゃくやぁぁぁ! はやぐぎでれみりゃとあぢゃんをたすけるんだどぉぉぉぉ!!」 泣きわめく親れみりゃ。 そんな親れみりゃを、見下すゲスまりさ達。 「おお、おろかおろか」 「うるさいにくまんだぜ!」 「よわいれみりゃは、ゆっくりたべられるんだぜ!」 そう言って、一匹の子れみりゃを丸呑みにして、咀嚼していくゲスまりさ。 「うぎゃぁぁぁ!!」 「うわぁぁぁぁぁっっ!!」 子れみりゃの断末魔と、親れみりゃの悲痛な叫びが湖畔の森に響き渡る。 「ぎゃおぉぉぉーーーーっ! ぎゃおぉぉぉぉーーーーっ!!」 怒りと悲しみで、ゲスまりさを倒そうと体をジタバタよじる親れみりゃ。 だが、四肢の千切られたその体では、文字通り手も足もでない。 「ったく、うるさいにくまんだぜ!」 ゲスまりさがピョンと跳ね上がり、親れみりゃの顔に体当たりをくらわす。 「ぷぎゃぁぁーーーっ! いたいぃぃぃぃーーーっ!!」 苦痛の叫びを上げ、ボロボロと大泣きする親れみりゃ。 「まんまぁぁぁ! がんばてぇぇぇぇ! こいちゅらやっちけてぇぇぇぇ!」 いじめられる親を見て、これまた泣き出す子れみりゃ。 なんとか助けて貰おうと、親れみりゃを応援する。 「ブサイクなにくまんのぶんざいで、なまいきだぜ!」 「うっぎゃっ!」 気分を害したゲスまりさが、跳ね上がり、子れみりゃを押しつぶす。 「どうだぜ! まいったかだぜ!」 「「「うぎゃ! ぷぎゃ! いだっ! ゆぎぃ!」」」 何度も何度も、子れみりゃ達をプレスしていくゲスまりさ。 間もなく、子れみりゃ達は物言わぬ肉まんの残骸と化してしまった。 「ああああああっ! れみりゃのあがじゃんんんんんっ!!! 目の前で全ての子供を失い、白目を向きながら泣き叫ぶ親れみりゃ。 その脳裏に、子供達と過ごした日々が浮かぶ。 森の中でアリスに襲われ、妊娠した日の戸惑い。 自分の体内で新たな命が育まれていくのを感じた感動。 とっても痛かった出産と、それ以上に可愛い赤ちゃんとの対面。 はじめて「まんまぁ~」と呼んでもらえた時の嬉しさ。 一緒に顔中を汚して食べた、さくやとくせい・ぷっでぃんの甘さ。。 立てるようになった子供達に、れでぃーのたしなみとして歌とダンスを教えた日々。 いままでも、そしてこれからも、自分と赤ちゃんたちには楽しくて素敵な毎日が待っている。 だって、れみりゃたちは、とってもえらくてかわいくてつよい、こーまかんのおぜうさまなのだから! だから、今日だって、メイドの言いつけをやぶってでも、 一緒に遠くまでお散歩に来たのに。 それなのに。 あかちゃん。 なんで。 「……あかちゃーん、あかちゃーん♪ ……とぉーってもかわいいどぉー♪」 親れみりゃは、放心状態となり、空想の中で子供達と遊びだした。 一方、ゲスまりさ達は、そんな親れみりゃの様子を見て、ふざけだす。 「おいおい、せっかくのにくまんをつぶしてどうするんだぜ♪」 「おっと、ついやっちまったんだぜ♪」 「そうだぜ、でも心配はいらないんだぜ♪」 ニヤニヤと笑みをこぼしあうゲスまりさ達。 「……う、う~~~~?」 そのゲスまりさ達の言動に、現実に引き戻され、 不安な気持ちでいっぱいになる親れみりゃ。 「「「だって、にくまんはまだこんなにあるんだぜ!」」」 そう言って、いっせいに親れみりゃに噛みつくゲスまりさ。 「うぎゃぁぁぁ! やめてぇぇぇ! れみりゃはにくまんじゃないどぉぉぉ!!」 「なに言ってるんだぜ! どうみたってお前はにくまんだぜ!」 「そうだぜ! 肉汁だってこんなにアツアツウマウマなんだぜ!」 「かんねんするんだぜ! このぶさいくなにくまんが!」 「ちがうのぉぉー! れみりゃはぷりてぃーなこーまがんのおぜうさまなのぉっ! にくまんでもぶさいくでもないのぉぉぉ!!!」 「なにいってやがるんだぜ!」 「そうだぜ! このにくまん!」 「おぜうさまにこんな尻尾なんかあるわけないんだぜ!」 そう言って、尻尾にかぶりつくゲスまりさ。 尻尾。 そう、この親れみりゃは、胴体つきは胴体つきでも、 希少種であるゆっくりゃザウルスであった。 しかも、元々ゆっくりゃザウルスであったわけではない。 ついこの間まで、紅魔館に住み着き、メイド達に甘やかされて育った、 ごくごく普通の胴体付きれみりゃであった。 だが、子供を産み、子育てを経ていく間に、れみりゃの体に異変が起こった。 ある朝、起きたらゆっくりゃザウルスになっていたのだ。 ゆっくりゃザウルスとなった親れみりゃを見て、 普通の胴体つきれみりゃである子れみりゃ達は、たいそう感激し、 「まんま、かぁっこいいどぉ~~♪」と、ことあるごとに褒め称えた。 ただでさえ子供達と優しいメイドに囲まれ幸せだったのに、 さらにこんなにも素敵な体になって、いいんだろうか!? しばらくの間、親れみりゃは幸福感でいっぱいになった。 だが、いくつかの誤算が、親れみりゃの幸福に水を差す。 メイド達が、館の外へ出してくれなくなったのだ。 いつもは定期的にお散歩に行けたのに、 今ではどこかへお出かけしようとするたび、 名前を忘れた門番に呼び止められ、連れ戻されてしまうようになった。 自分は、こーまかんのあるじなのに! こんなにかっこよくなった自分を、いろんな人に見せてあげたいのに! そしたらきっと、みんな喜んで、褒め称えて、自分と赤ちゃんにぷっでぃーんをくれるのに! 腹をたてたれみりゃ親子は、たまに館にやってくる、箒にのった少女に頼み込み、 こっそり館の外へ連れ出してもらったのだ。 けれど、そこで二つの誤算があった。 一つは、遠くへ来すぎて、館へ帰れなくなってしまったこと。 そして、もう一つは、このゲスまりさ達にからまれたことだ。 たしかにゲスまりさ達は、いつもれみりゃ親子がエサとして与えられるゆっくりより大きかった。 その体長は、帽子を抜かしても50cm前後はあるだろう。 だが、そこはくさっても捕食種・れみりゃ。 殆どが子供とはいえ、れみりゃ5匹に対して、 少しばかり大きいエサが3匹いたところでものの数ではないと思っていた。 しかし、それが大間違い。 親れみりゃは、ぎゃぉ~~とゲスまりさに襲いかかったが、あっさりよけられ、 逆に3匹のゲスまりさのコンビネーションの前に、なすすべもなく体当たりされ続け、 あっという間に泣き出してしまった。 すると、あんなにも強くて格好良いと思っていた親れみりゃがやられたことで、子れみりゃ達もすっかり意気消沈。 子供達だけで狩りをしたことが無いこともあり、パニック状態に陥ってしまう。 その隙を突かれ、子れみりゃ達も、さして抵抗するでもなくゲスまりさ達のオモチャとなってしまった。 これこそが、館のメイド達がゆっくりゃザウルスを外へ出したがらないかった理由だった。 当のれみりゃ達は、何故か"最高に強そうで格好良い"と感じるのだが、 ゆっくりゃザウルスへの変化はパワーアップでも何でもないのだ。 むしろ、全ての面において弱体化しており、 その戦闘力は、れみりゃ種の中でも最弱と言っても過言ではない。 しかし、なまじ物珍しく、また肉まんとしてもより肉厚が増えて美味しくなっているため、 ゆっくりを愛好する人間達や、れみりゃの味を知っているゆっくり達から、しばしば狙われ命を落としてしまう。 それを知らず、勘違いしたが故に、このれみりゃ親子の悲劇は起きた。 「おねがいやべでぇぇぇぇ! れみりゃをたべぢゃだべぇぇぇぇぇっっ!」 「「「むーしゃむーしゃだぜぇ~♪」」」 泣き叫び哀願する親れみりゃと、構わずれみりゃの尻尾を食べ続けるゲスまりさ達。 親れみりゃにとって、永遠に続くかと思われた生き地獄は、 断続的な地響きと、その後に続く鳴き声……"とってもエレガントでイケている"と 親れみりゃが苦痛を忘れて聴き惚れた歌によって、遮られた。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 「だれだぜ! じめんをゆらすのをやめるんだぜ!」 「なんだぜ? だれがうたってるんだぜ?」 「だれだぜ? まりさたちのしょくじをじゃまするのは!」 きょろきょろ左右を見回すゲスまりさ達。 しかし、見えるのは、湖と木と緑と潰れた肉まんと今たべているにくまんと……。 「ゆっ? だれもいないんだぜ?」 「おかしいんだぜ!」 「もういちどかくにんするんだぜ!」 ゲスまりさは警戒を怠らず、3匹がそれぞれ背中を合わせて、死角を無くす。 ゆっくりらしからぬコンビネーションは、この3匹が長年をともにし、 いくつかの修羅場を乗り越えてきたことを示していた。 「……うぅ?」 一方、一時的にとはいえ、解放された親れみりゃもまた、 "エレガントでかっこよくて綺麗な声の"歌の主を、目だけを動かして探す。 『ティ~ガティ~ガティガ♪』 「「「姿をあわらせだぜ!」」」 いらつくゲスまりさ達。 何度みても、そこには異常は確認できない。 見えるのは、湖と木と緑と潰れた肉まんと今たべているにくまんと……。 ……緑? この緑は葉っぱじゃない。 それによく見ると動いている。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 ゲスまりさ達は、その視界に入っている緑を追って、徐々に顔を上げていく。 同じく、その緑色の存在に気付いた親れみりゃも、つられて瞳を上へ向ける。 そして。 「「「うぶっぼげぇぇぇ!!!」」」 「うーーーーーーっ!!!」 声にならない驚愕の叫びと、まるで神にでも出会ったかの如く感嘆に染まった叫びが、湖畔に重なる。 ゲスまりさと、親れみりゃが見上げた先、 そこには、超巨大ゆっくり・ティガれみりゃの満面のしもぶくれスマイルが広がっていた。 ゲスまりさの視界に入っていた緑色は、ティガれみりゃの足先だったのだ。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~~♪』 「げぇぇぇぇぇぇぇっっっ!」 「う~~~~~~~~♪」 ゲスまりさと親れみりゃを見つけ、お得意のダンスを披露するティガれみりゃ。 ゲス達は恐怖で青ざめさせ、親れみりゃは興奮で顔を紅潮させている。 「か、か、か、か……かっこいいどぉーーー!!!」 目をキラキラと輝かせる親れみりゃ。 自分がゆっくりゃザウルスになった時も、鏡を見ては惚れ惚れしたものだが、 いま目の前に立っているれみりゃは、そんな自分から見ても格が違う! 「ま、まさに、かりしゅまだどぉ~~~♪」 ゲスまりさ達に虐められ、子供を目の前で失い、絶望のさなかにあった親れみりゃにとって、 このティガれみりゃの存在は鮮烈だった。 これこそ、自分達れみりゃが目指すべき姿! れみりゃ達の救世主! れみりゃの完成系! れみりゃの最終兵器! れみりゃを終わらせたれみりゃ! 「れみりゃが歩いたばしょなど、このれみりゃはすでに2000年前につうかしてるんだどぉ~~♪」 ……と、錯乱するほどに、親れみりゃは感動を覚えていた。 一方、ゲスまりさ達といえば、 口をパクパクさせたまま動けずにいた。 あまりにも違いすぎる大きさは、それだけで相手の戦意と思考を喪失させる。 まして、こざかしくもこれまで何度かの修羅場を切り抜けてきたゲスまりさ達だったからこそ、 いま目の前にいる巨大なゆっくりが、いかに絶望的な存在かを本能的に察してしまっていた。 本能的な恐怖が体を萎縮させ、ゲスまりさの体を、こおりつかせて動けない状態にさせていた。 『うっ~う~♪ れみりゃとおんなじれみりゃがいるどぉ~♪』 「うーうー♪」 ティガれみりゃに呼ばれたことが嬉しくて、うれしそうに反応する親れみりゃ。 立ち上がり、一緒に踊ろうとして…… 「うっぎゃぁぁっ!」 体の無い部分を動かそうとして痛みがよみがえり、 四肢と尻尾を食べられてしまっていたことを、嫌でも思い出す。 『う~~~?』 そんな親れみりゃの様子を不思議そうに眺めるティガれみりゃ。 やがて、肉餡の脳が、的はずれな答えを導き出す。 『わかったどぉ~♪ おなかがすいてうごけないんだどぉ~♪』 ティガれみりゃは言うや否や、 足下でかたまっているまんじゅうを一つつまみ上げる。 「た、たすけるんだぜ!」 「し、しらないんだぜ、まりさは無関係なんだぜ…」 「そうだぜ、それにきっとそのまりさが一番おいしいんだぜ…」 「ど、どぉじでぞんなごどぉいうんだぜぇぇぇぇっ!!!??」 ゲスまりさは、いかにもゲスらしく、自分のためだけに仲間を売り払おうとする。 『うーー、うるちゃいおまんじゅうだどぉーー』 ティガれみりゃは、つまみ上げたゲスまりさに、少しだけ力を込める。 『うるちゃいと、つかれたれみりゃがたべられないんだどぉー! しずかにしないとたーべちゃうぞー♪』 「ぷぎょげっ!」 ティガれみりゃの指に込められた力に耐えきれず、瞬時にパァーンと弾けるゲスまりさ。 ちょっとしかるだけのつもりでも、ティガれみりゃの力は、普通のゆっくりにとっては致命的な威力となってしまう。 『う~~~♪ れみりゃしっぱいしちゃったどぉ~~♪』 てへっ♪と舌を出しておどけるティガれみりゃ。 「や、やめるんだぜ~~~~!」 二匹目のゲスまりさをつまみあげるティガれみりゃ。 『しぃぃ~~~~だどぉ♪』 ティガれみりゃは、おとなしくするよう告げるが、 生命の危機にさらされた生物が、それでおとなしくなるわけもなく。 「はんすんだぜ! このでかにくまん! まりさよりあっちのまりさの方がおいしいんだぜ!」 「やぁべろぉぉぉ! ぞんなごどいうなぁぁぁぁ!」 『う~、おまんじゅうのくせにれみりゃのいうこときかないなんて、なまいきだどぉ』 いつまでたっても静かにならないゲスまりさ達に、 ティガれみりゃは、ぷくぅ~と頬を膨らませる。 「ぎょえぇ!」 無意識的につい力がこもってしまったのか、ゲスまりさがパァーンと弾け飛ぶ。 『うーーーっ! どぉーしてうまくいかないんだどぉー!』 いらつき、3匹目のゲスまりさをつまみあげるティガれみりゃ。 「や、やめてほしいでございますだぜ…」 卑屈に下手に出るゲスまりさ。 一方、ティガれみりゃはゲスまりさの言葉など聞かず、 ポケットに手を入れガサゴソと動かした後、そのまま空の手を取りだした。 『うっう~~~! すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるを、忘れてきちゃったどぉ~~♪』 "れみりゃのおっちょこちょいさん♪"とでも言いたげに、 自分の頭を軽く叩き、頬を赤く染めるティガれみりゃ。 ちなみに、"すぴあざぐんぐにる"とは、 ティガれみりゃがポケットの中にしまって持ち歩き、 ゆっくりを狩る時に愛用する、立ち枯れた木のことだ。 ティガれみりゃは、その木の枝にゆっくり達を突き刺して、 "とくせいゆっくりだんご"を作って食べる習性があった。 「ま、まりさにひどいことすると、ドゲスたちがだまってないんだぜ、わかったらさっさと……」 ゲスまりさは、相変わらずティガれみりゃに自分を見逃すよう説得を続けていた。 しかし、ティガれみりゃ相手にそんな交渉は意味も無く、 「ゆべしっ!」 次の瞬間、押しつぶされて体を四散させていた。 『う? またやっちゃったどぉ♪』 しかたない、それじゃ次のおまんじゅうで……。 ティガれみりゃは足下をみるが、そこには既にゲスまりさはいない。 それはそうだ。 3匹のゲスまりさは、他ならぬティガれみりゃによって殺されたのだから。 『う~~~! これじゃ、れみりゃにごはんをあげられないどぉ~~~!』 鼻の上のあたりを真っ赤にしてジタバタするティガれみりゃ。 『しゃくやーー! はやくれみりゃたちにぷっでぃんもってきてぇーー!』 と、お決まりに、いもしない従者の名前を呼ぶが、当然誰かがくるはずもない。 『うー……』 しかたなく、短い手と膝をつき、顔をよせて、 小さな親れみりゃに話しかけるティガれみりゃ。 『うー、ごめんだどぉ。おまんじゅうなくなっちゃたんだどぉー』 ティガれみりゃは詫びるが、 それに対して親れみりゃの方は全く気にする素振りもない。 それどころか、自分達をいじめたあの3匹のゲスまりさを、 まったく寄せ付けず倒してしまった強さに、ただただ感動していた。 「うーうー♪ れみりゃは気にしないどぉー♪ それより助けてくれてありがとうだどぉー♪」 『う~~? いいのぉー?』 ティガれみりゃからすれば、別に助けたつもりもなかったので、 ただただ自分のミスを許してくれて、おまけに何故か御礼を言われたことに気分を良くする。 『うー♪ ちっちゃなれみりゃは優しい良い子だどぉ♪ れみりゃは、れみりゃにごほうびをあげたいどぉー♪』 「うっ? ごほーび?」 『そうだどぉ♪ なんでも言ってねぇ~♪』 うっふんとウィンクし、 うんしょ、うんしょと立ち上がるティガれみりゃ。 「……うぅー」 親れみりゃは考える。 そして、自分の置かれた立場を思い出した。 迷子になってしまったこと、子供を失ってしまったこと。 次々に悲しみがよみがえってきて、自然と涙が流れてくる。 『うーっ! どぉーしたんだどぉ?』 「うーーー! うーーー! うーーー!」 『う~~、れみりゃに泣かれると、なんだかれみりゃもかなしくなるどぉ~~』 困ったような笑顔のまま、ティガれみりゃは目尻にうっすら涙を浮かべる。 「……う~、れみりゃ、おうちにかえりだいどぉ」 嗚咽をすすりながら、親れみりゃは口を開く。 そう、おうちへ帰ろう。 そして、ぷっでぃんを食べて、さくやに慰めてもらって、ふかふかのベッドで眠ろう。 親れみりゃは、それだけを強く願い始める。 『う~~♪ わかったどぉ~~♪』 「うっ?」 『れみりゃがいっしょにおうちを探してあげるどぉ♪』 ティガれみりゃは、潰さないよう、優しく手の平の上に親れみりゃを乗せ、 自分の顔の前へ持ってくる。 至近距離で互いの顔をじっと見つめ合う、ティガれみりゃと親れみりゃ。 『う~~♪ ちっちゃいれみりゃだどぉ~~♪』 「う~~♪ おっきぃれみりゃだどぉ~~♪」 自然と笑顔になる、ティガれみりゃと親れみりゃ。 『うっうー♪ ちっちゃいれみりゃもかわいいどぉー♪』 「うっうー♪ おっきぃれみりゃもかっこいいどぉー♪」 互いを褒め合い、たたえ合う2人(?) ティガれみりゃは、親れみりゃを自分の頭の上に乗せる。 「う~! すっごい高いどぉー! 風がきもちいいどぉー♪」 痛みも忘れ、喜ぶ親れみりゃ。 実際、既に手足はだいぶ再生しており、 ふりおとされないようティガれみりゃの頭にしがみつくくらいのことはできるようになっていた。 最弱といえど捕食種れみりゃ。ゆっくりゃザウルスとなっても再生力は健在である。 『うー、それじゃいっくどぉー♪』 「うーっ♪」 よったよったのしのし。 よったよったどったどった。 頭の上にゆっくりゃザウルスを乗せて、 ティガれみりゃは湖に背を向けて、森を進んでいく。 ……紅魔館は、湖の対岸にあるのだが、 そんなことはティガれみりゃも親れみりゃも知らなかった。 2人はそろって楽しげに、うぁうぁダンスのリズムを取り始める。 『「うーうーうぁうぁ♪ うーうーうぁうぁ♪」』 楽しげに歌って踊るうち、親れみりゃは、 自分の中に芽生えつつあった嫌な疑問を払拭しはじめていた。 疑問。 それは、あのゲスまりさ達がたびたび口にした内容。 "れみりゃ達はおぜうさまではなく、たべられちゃうにくまんなの?"という不安。 けれど、そんなのは気のせいだ。 あのいじわるなゆっくり達がウソをついたに決まっている。 (だって、こんなにも可愛くて強いティガれみりゃが、にくまんなわけないもん!) 親れみりゃは、強く確信し、ティガれみりゃにあわせて快心のリズムを刻んでいく。 『ティガ☆』 「れみ☆」 『りゃ☆』 「うー♪」 『「にぱぁ~~~♪」』 にぱぁ~のタイミングでティガれみりゃと親れみりゃは、 その下ぶくれスマイルを最高に輝かせた。 あまりにも歌も踊りも素敵だったから、気持ちよくて楽しかったから、 だから2人は気付かなかった。 ティガれみりゃの進む先、空中を浮遊する1人の少女の姿を。 人とも妖怪とも違う、もっと強くもっと恐ろしい、幻想郷からは本来姿を消した存在。 甘ったるい桃ばかりに飽きて、塩からいツマミを探していたその"鬼"の存在に。 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ4・誇りをかけた試練(後編)』 ============================ (あとがき) どうも、ティガれみりゃ第三回です。 すみません、ちょっと長くなってしまったので前編後編わけました。 ……というか、風邪をこじらせてしまいまして、 そろそろ意識が朦朧としてきたので、とりあえずここで区切らせていただきます。 (ほんとはこの先が書きたくて、このエピソード作ったのにorz) それと、本当にどうでも良いことではあるんですが、 そろそろモンハンが元ネタのタイトルが尽きてきました……。 byティガれみりゃの人 ============================ 続 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/458.html
ティガれみりゃ その3 ======================== ≪はじめに≫ 『ティガれみりゃ』の続きになります。 時系列は、ティガれみりゃ1→ティガれみりゃ2→本作、となります。 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 パロディネタおよび、自分設定有りです。 今回のエピソードには、本家東方のキャラが出演予定です。 口調やキャラなど、壊れ気味かもですが、ご容赦あれ。 すみません、まだ続きます。 また、今回のエピソードは長くなってしまったので、前編後編に分割しました。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 ======================== 3、誇りをかけた試練(前編) 「ゆぐぅ……もっと…ゆっくりじだがっだ、よ……」 とある山の、とある森。 一匹のゆっくりれいむが、今まさに力尽きようとしていた。 あちこち皮が破け、その傷と口から大量のあんこを吐き出している。 しかし、この森に充満する甘い匂いは、このれいむだけが原因ではなかった。 「みんな……れいむもゆっくり……そっちへいくよ……」 れいむが語りかけた先、 れいむの眼前、左右、背後、 そこには膨大な量のあんこが飛び散り、地面や木に染みを塗りたくっていた。 所々にリボンや帽子の残骸が垣間見えるそれは、大量のゆっくり達の死骸であった。 赤ちゃんから、大人まで、原型をとどめないその数は200を越えていた。 「ゆぅ……くやじぃ、ょ……」 視界がぼやけ、意識が朦朧としていく。 そんな状態でなお、この惨状を生み出した元凶の影が、目に焼き付いて離れない。 耳をすませば、今なおアノ恐ろしい鳴き声と歌が聞こえてくるようだ。 その歌い手の主、たった一体のゆっくりによって、 れいむの家族も、友達も、喧嘩相手も、同じ森に住むまだ見ぬ同胞達も、 みんなみんな殺されてしまったのだ。 圧倒的な力で、抗いようの無い絶望を撒き散らしたそのゆっくりを、れいむは決して許さない。 その憎悪の炎だけが、れいむの命を辛うじてつなぎ止めていた。 ……もっとも、許すも許さないも、どうせ自分はこのまま死んでしまうのだろう。 ゆっくりのあんこ脳であっても、その事実だけはハッキリ認識できた。 「むっきゅーっ! まだ生きてるのね!」 「……ゆ、ぅ?」 聞いたことの無い声だった。 ゆっくりと目を開き、最後の力を振り絞り、声の主を見上げるれいむ。 そこには人間の少女に似たゆっくりが立っていた。 「大丈夫!? しっかりしてね!」 れいむを心配する少女。 よく見れば、少女もまたゆっくりであるようだった。 『ぱちゅりー、どうしたの?』 「むきゅ! まだ生きているれいむがいたのよ、まりさ!」 ぱちゅりーと呼ばれたゆっくり、 即ち胴体付きのゆっくりぱちゅりーの背後から、重たそうに跳ねて近づく巨大なゆっくり。 れいむはそれを知っていた。とっても強くて大きくて優しいゆっくり、ドスまりさだ。 それも一匹ではない。 二匹、三匹、四匹……次々とやってくる。 さらには普通のサイズのまりさやアリス、ちぇんにみょん、 何十匹ものゆっくりが、木々の隙間を跳ねてきた。 「ゆゆゆ?」 わけがわからなくなる、れいむ。 疑問と困惑があんこ脳を支配し、一時的に痛みも恐怖も忘れさせていた。 「むきゅー。もう大丈夫よ、れいむ」 ボロボロのれいむを優しく抱え上げる、ゆっくりぱちゅりー。 「ゆぅ……おねぇさんたち……だれ?」 「むきゅ! よくぞ聞いてくれたわ!」 ゆっくりぱちゅりーは、れいむを抱えたままドスまりさら仲間へ向き直る。 「わたしたちは、ゆっくりフォース!」 「ゆっ!?」 「ティガれみりゃを倒すために集まった、ゆっくりなれじすたんすよ!」 高らかに宣言する、ゆっくりぱちゅりー。 れいむは、力を振り絞って、ゆっくりぱちゅりーに懇願する。 「おねぇーさん、れいむをみんなの仲間にしてね! れいむもティガれみりゃを許せないんだよ!」 口からあんこを吐き出しながら、されど目には炎を宿して叫ぶれいむ。 ティガれみりゃと戦う上で、この傷だらけのれいむがどれほど役に立つかはわからない。 けれど、その気高いゆっくりマインドだけは、ぱちゅりーやドスまりさ達にも痛いほど伝わった。 なぜなら、その場に集まる殆どのゆっくり達が、ティガれみりゃの犠牲者だったから。 故に、そのれいむの申し出を断るゆっくりはいなかった。 ぱちゅりーを筆頭に、数多のゆっくり達が、れいむに歓迎の言葉をかける。 「「「「「ようこそれいむ! ゆっくりしていってね!!」」」」」 * * * 「うっめっ! むっちゃうめぇっ!」 「まんまぁぁぁーーっ!たしゅげでぇぇぇぇっ!!」 「やめでぇぇぇぇっ! れみりゃのあがぢゃんたべないでぇぇぇぇぇっ!!」 通称・ゆっくりフォースが、そのメンバーを増やしていた頃。 とある湖畔で、胴体付きれみりゃの親子が、複数のゆっくり達に襲われていた。 親だと思われるれみりゃが一匹、その子供が4匹。 親れみりゃは四肢をもがれ、地面にころがされている。 四肢の切り口は、強引に食いちぎられ、断面から肉汁があふれている。 その親れみりゃの前で、4匹の子供達はリンチされ、食い散らかされていく。 「むーしゃむーしゃ♪」 「なにこのにくまん!むっちゃうめぇ!」 「すっごくゆっくりできる味だぜ!」 れみりゃ達を襲っているのは、3匹のまりさ種だった。 それも、もっとも性悪といわれ、専門家達からがゲスまりさと分類される種だ。 「うわぁぁぁぁぁん! しゃくやぁぁぁ! はやぐぎでれみりゃとあぢゃんをたすけるんだどぉぉぉぉ!!」 泣きわめく親れみりゃ。 そんな親れみりゃを、見下すゲスまりさ達。 「おお、おろかおろか」 「うるさいにくまんだぜ!」 「よわいれみりゃは、ゆっくりたべられるんだぜ!」 そう言って、一匹の子れみりゃを丸呑みにして、咀嚼していくゲスまりさ。 「うぎゃぁぁぁ!!」 「うわぁぁぁぁぁっっ!!」 子れみりゃの断末魔と、親れみりゃの悲痛な叫びが湖畔の森に響き渡る。 「ぎゃおぉぉぉーーーーっ! ぎゃおぉぉぉぉーーーーっ!!」 怒りと悲しみで、ゲスまりさを倒そうと体をジタバタよじる親れみりゃ。 だが、四肢の千切られたその体では、文字通り手も足もでない。 「ったく、うるさいにくまんだぜ!」 ゲスまりさがピョンと跳ね上がり、親れみりゃの顔に体当たりをくらわす。 「ぷぎゃぁぁーーーっ! いたいぃぃぃぃーーーっ!!」 苦痛の叫びを上げ、ボロボロと大泣きする親れみりゃ。 「まんまぁぁぁ! がんばてぇぇぇぇ! こいちゅらやっちけてぇぇぇぇ!」 いじめられる親を見て、これまた泣き出す子れみりゃ。 なんとか助けて貰おうと、親れみりゃを応援する。 「ブサイクなにくまんのぶんざいで、なまいきだぜ!」 「うっぎゃっ!」 気分を害したゲスまりさが、跳ね上がり、子れみりゃを押しつぶす。 「どうだぜ! まいったかだぜ!」 「「「うぎゃ! ぷぎゃ! いだっ! ゆぎぃ!」」」 何度も何度も、子れみりゃ達をプレスしていくゲスまりさ。 間もなく、子れみりゃ達は物言わぬ肉まんの残骸と化してしまった。 「ああああああっ! れみりゃのあがじゃんんんんんっ!!! 目の前で全ての子供を失い、白目を向きながら泣き叫ぶ親れみりゃ。 その脳裏に、子供達と過ごした日々が浮かぶ。 森の中でアリスに襲われ、妊娠した日の戸惑い。 自分の体内で新たな命が育まれていくのを感じた感動。 とっても痛かった出産と、それ以上に可愛い赤ちゃんとの対面。 はじめて「まんまぁ~」と呼んでもらえた時の嬉しさ。 一緒に顔中を汚して食べた、さくやとくせい・ぷっでぃんの甘さ。。 立てるようになった子供達に、れでぃーのたしなみとして歌とダンスを教えた日々。 いままでも、そしてこれからも、自分と赤ちゃんたちには楽しくて素敵な毎日が待っている。 だって、れみりゃたちは、とってもえらくてかわいくてつよい、こーまかんのおぜうさまなのだから! だから、今日だって、メイドの言いつけをやぶってでも、 一緒に遠くまでお散歩に来たのに。 それなのに。 あかちゃん。 なんで。 「……あかちゃーん、あかちゃーん♪ ……とぉーってもかわいいどぉー♪」 親れみりゃは、放心状態となり、空想の中で子供達と遊びだした。 一方、ゲスまりさ達は、そんな親れみりゃの様子を見て、ふざけだす。 「おいおい、せっかくのにくまんをつぶしてどうするんだぜ♪」 「おっと、ついやっちまったんだぜ♪」 「そうだぜ、でも心配はいらないんだぜ♪」 ニヤニヤと笑みをこぼしあうゲスまりさ達。 「……う、う~~~~?」 そのゲスまりさ達の言動に、現実に引き戻され、 不安な気持ちでいっぱいになる親れみりゃ。 「「「だって、にくまんはまだこんなにあるんだぜ!」」」 そう言って、いっせいに親れみりゃに噛みつくゲスまりさ。 「うぎゃぁぁぁ! やめてぇぇぇ! れみりゃはにくまんじゃないどぉぉぉ!!」 「なに言ってるんだぜ! どうみたってお前はにくまんだぜ!」 「そうだぜ! 肉汁だってこんなにアツアツウマウマなんだぜ!」 「かんねんするんだぜ! このぶさいくなにくまんが!」 「ちがうのぉぉー! れみりゃはぷりてぃーなこーまがんのおぜうさまなのぉっ! にくまんでもぶさいくでもないのぉぉぉ!!!」 「なにいってやがるんだぜ!」 「そうだぜ! このにくまん!」 「おぜうさまにこんな尻尾なんかあるわけないんだぜ!」 そう言って、尻尾にかぶりつくゲスまりさ。 尻尾。 そう、この親れみりゃは、胴体つきは胴体つきでも、 希少種であるゆっくりゃザウルスであった。 しかも、元々ゆっくりゃザウルスであったわけではない。 ついこの間まで、紅魔館に住み着き、メイド達に甘やかされて育った、 ごくごく普通の胴体付きれみりゃであった。 だが、子供を産み、子育てを経ていく間に、れみりゃの体に異変が起こった。 ある朝、起きたらゆっくりゃザウルスになっていたのだ。 ゆっくりゃザウルスとなった親れみりゃを見て、 普通の胴体つきれみりゃである子れみりゃ達は、たいそう感激し、 「まんま、かぁっこいいどぉ~~♪」と、ことあるごとに褒め称えた。 ただでさえ子供達と優しいメイドに囲まれ幸せだったのに、 さらにこんなにも素敵な体になって、いいんだろうか!? しばらくの間、親れみりゃは幸福感でいっぱいになった。 だが、いくつかの誤算が、親れみりゃの幸福に水を差す。 メイド達が、館の外へ出してくれなくなったのだ。 いつもは定期的にお散歩に行けたのに、 今ではどこかへお出かけしようとするたび、 名前を忘れた門番に呼び止められ、連れ戻されてしまうようになった。 自分は、こーまかんのあるじなのに! こんなにかっこよくなった自分を、いろんな人に見せてあげたいのに! そしたらきっと、みんな喜んで、褒め称えて、自分と赤ちゃんにぷっでぃーんをくれるのに! 腹をたてたれみりゃ親子は、たまに館にやってくる、箒にのった少女に頼み込み、 こっそり館の外へ連れ出してもらったのだ。 けれど、そこで二つの誤算があった。 一つは、遠くへ来すぎて、館へ帰れなくなってしまったこと。 そして、もう一つは、このゲスまりさ達にからまれたことだ。 たしかにゲスまりさ達は、いつもれみりゃ親子がエサとして与えられるゆっくりより大きかった。 その体長は、帽子を抜かしても50cm前後はあるだろう。 だが、そこはくさっても捕食種・れみりゃ。 殆どが子供とはいえ、れみりゃ5匹に対して、 少しばかり大きいエサが3匹いたところでものの数ではないと思っていた。 しかし、それが大間違い。 親れみりゃは、ぎゃぉ~~とゲスまりさに襲いかかったが、あっさりよけられ、 逆に3匹のゲスまりさのコンビネーションの前に、なすすべもなく体当たりされ続け、 あっという間に泣き出してしまった。 すると、あんなにも強くて格好良いと思っていた親れみりゃがやられたことで、子れみりゃ達もすっかり意気消沈。 子供達だけで狩りをしたことが無いこともあり、パニック状態に陥ってしまう。 その隙を突かれ、子れみりゃ達も、さして抵抗するでもなくゲスまりさ達のオモチャとなってしまった。 これこそが、館のメイド達がゆっくりゃザウルスを外へ出したがらないかった理由だった。 当のれみりゃ達は、何故か"最高に強そうで格好良い"と感じるのだが、 ゆっくりゃザウルスへの変化はパワーアップでも何でもないのだ。 むしろ、全ての面において弱体化しており、 その戦闘力は、れみりゃ種の中でも最弱と言っても過言ではない。 しかし、なまじ物珍しく、また肉まんとしてもより肉厚が増えて美味しくなっているため、 ゆっくりを愛好する人間達や、れみりゃの味を知っているゆっくり達から、しばしば狙われ命を落としてしまう。 それを知らず、勘違いしたが故に、このれみりゃ親子の悲劇は起きた。 「おねがいやべでぇぇぇぇ! れみりゃをたべぢゃだべぇぇぇぇぇっっ!」 「「「むーしゃむーしゃだぜぇ~♪」」」 泣き叫び哀願する親れみりゃと、構わずれみりゃの尻尾を食べ続けるゲスまりさ達。 親れみりゃにとって、永遠に続くかと思われた生き地獄は、 断続的な地響きと、その後に続く鳴き声……"とってもエレガントでイケている"と 親れみりゃが苦痛を忘れて聴き惚れた歌によって、遮られた。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 「だれだぜ! じめんをゆらすのをやめるんだぜ!」 「なんだぜ? だれがうたってるんだぜ?」 「だれだぜ? まりさたちのしょくじをじゃまするのは!」 きょろきょろ左右を見回すゲスまりさ達。 しかし、見えるのは、湖と木と緑と潰れた肉まんと今たべているにくまんと……。 「ゆっ? だれもいないんだぜ?」 「おかしいんだぜ!」 「もういちどかくにんするんだぜ!」 ゲスまりさは警戒を怠らず、3匹がそれぞれ背中を合わせて、死角を無くす。 ゆっくりらしからぬコンビネーションは、この3匹が長年をともにし、 いくつかの修羅場を乗り越えてきたことを示していた。 「……うぅ?」 一方、一時的にとはいえ、解放された親れみりゃもまた、 "エレガントでかっこよくて綺麗な声の"歌の主を、目だけを動かして探す。 『ティ~ガティ~ガティガ♪』 「「「姿をあわらせだぜ!」」」 いらつくゲスまりさ達。 何度みても、そこには異常は確認できない。 見えるのは、湖と木と緑と潰れた肉まんと今たべているにくまんと……。 ……緑? この緑は葉っぱじゃない。 それによく見ると動いている。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 ゲスまりさ達は、その視界に入っている緑を追って、徐々に顔を上げていく。 同じく、その緑色の存在に気付いた親れみりゃも、つられて瞳を上へ向ける。 そして。 「「「うぶっぼげぇぇぇ!!!」」」 「うーーーーーーっ!!!」 声にならない驚愕の叫びと、まるで神にでも出会ったかの如く感嘆に染まった叫びが、湖畔に重なる。 ゲスまりさと、親れみりゃが見上げた先、 そこには、超巨大ゆっくり・ティガれみりゃの満面のしもぶくれスマイルが広がっていた。 ゲスまりさの視界に入っていた緑色は、ティガれみりゃの足先だったのだ。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~~♪』 「げぇぇぇぇぇぇぇっっっ!」 「う~~~~~~~~♪」 ゲスまりさと親れみりゃを見つけ、お得意のダンスを披露するティガれみりゃ。 ゲス達は恐怖で青ざめさせ、親れみりゃは興奮で顔を紅潮させている。 「か、か、か、か……かっこいいどぉーーー!!!」 目をキラキラと輝かせる親れみりゃ。 自分がゆっくりゃザウルスになった時も、鏡を見ては惚れ惚れしたものだが、 いま目の前に立っているれみりゃは、そんな自分から見ても格が違う! 「ま、まさに、かりしゅまだどぉ~~~♪」 ゲスまりさ達に虐められ、子供を目の前で失い、絶望のさなかにあった親れみりゃにとって、 このティガれみりゃの存在は鮮烈だった。 これこそ、自分達れみりゃが目指すべき姿! れみりゃ達の救世主! れみりゃの完成系! れみりゃの最終兵器! れみりゃを終わらせたれみりゃ! 「れみりゃが歩いたばしょなど、このれみりゃはすでに2000年前につうかしてるんだどぉ~~♪」 ……と、錯乱するほどに、親れみりゃは感動を覚えていた。 一方、ゲスまりさ達といえば、 口をパクパクさせたまま動けずにいた。 あまりにも違いすぎる大きさは、それだけで相手の戦意と思考を喪失させる。 まして、こざかしくもこれまで何度かの修羅場を切り抜けてきたゲスまりさ達だったからこそ、 いま目の前にいる巨大なゆっくりが、いかに絶望的な存在かを本能的に察してしまっていた。 本能的な恐怖が体を萎縮させ、ゲスまりさの体を、こおりつかせて動けない状態にさせていた。 『うっ~う~♪ れみりゃとおんなじれみりゃがいるどぉ~♪』 「うーうー♪」 ティガれみりゃに呼ばれたことが嬉しくて、うれしそうに反応する親れみりゃ。 立ち上がり、一緒に踊ろうとして…… 「うっぎゃぁぁっ!」 体の無い部分を動かそうとして痛みがよみがえり、 四肢と尻尾を食べられてしまっていたことを、嫌でも思い出す。 『う~~~?』 そんな親れみりゃの様子を不思議そうに眺めるティガれみりゃ。 やがて、肉餡の脳が、的はずれな答えを導き出す。 『わかったどぉ~♪ おなかがすいてうごけないんだどぉ~♪』 ティガれみりゃは言うや否や、 足下でかたまっているまんじゅうを一つつまみ上げる。 「た、たすけるんだぜ!」 「し、しらないんだぜ、まりさは無関係なんだぜ…」 「そうだぜ、それにきっとそのまりさが一番おいしいんだぜ…」 「ど、どぉじでぞんなごどぉいうんだぜぇぇぇぇっ!!!??」 ゲスまりさは、いかにもゲスらしく、自分のためだけに仲間を売り払おうとする。 『うーー、うるちゃいおまんじゅうだどぉーー』 ティガれみりゃは、つまみ上げたゲスまりさに、少しだけ力を込める。 『うるちゃいと、つかれたれみりゃがたべられないんだどぉー! しずかにしないとたーべちゃうぞー♪』 「ぷぎょげっ!」 ティガれみりゃの指に込められた力に耐えきれず、瞬時にパァーンと弾けるゲスまりさ。 ちょっとしかるだけのつもりでも、ティガれみりゃの力は、普通のゆっくりにとっては致命的な威力となってしまう。 『う~~~♪ れみりゃしっぱいしちゃったどぉ~~♪』 てへっ♪と舌を出しておどけるティガれみりゃ。 「や、やめるんだぜ~~~~!」 二匹目のゲスまりさをつまみあげるティガれみりゃ。 『しぃぃ~~~~だどぉ♪』 ティガれみりゃは、おとなしくするよう告げるが、 生命の危機にさらされた生物が、それでおとなしくなるわけもなく。 「はんすんだぜ! このでかにくまん! まりさよりあっちのまりさの方がおいしいんだぜ!」 「やぁべろぉぉぉ! ぞんなごどいうなぁぁぁぁ!」 『う~、おまんじゅうのくせにれみりゃのいうこときかないなんて、なまいきだどぉ』 いつまでたっても静かにならないゲスまりさ達に、 ティガれみりゃは、ぷくぅ~と頬を膨らませる。 「ぎょえぇ!」 無意識的につい力がこもってしまったのか、ゲスまりさがパァーンと弾け飛ぶ。 『うーーーっ! どぉーしてうまくいかないんだどぉー!』 いらつき、3匹目のゲスまりさをつまみあげるティガれみりゃ。 「や、やめてほしいでございますだぜ…」 卑屈に下手に出るゲスまりさ。 一方、ティガれみりゃはゲスまりさの言葉など聞かず、 ポケットに手を入れガサゴソと動かした後、そのまま空の手を取りだした。 『うっう~~~! すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるを、忘れてきちゃったどぉ~~♪』 "れみりゃのおっちょこちょいさん♪"とでも言いたげに、 自分の頭を軽く叩き、頬を赤く染めるティガれみりゃ。 ちなみに、"すぴあざぐんぐにる"とは、 ティガれみりゃがポケットの中にしまって持ち歩き、 ゆっくりを狩る時に愛用する、立ち枯れた木のことだ。 ティガれみりゃは、その木の枝にゆっくり達を突き刺して、 "とくせいゆっくりだんご"を作って食べる習性があった。 「ま、まりさにひどいことすると、ドゲスたちがだまってないんだぜ、わかったらさっさと……」 ゲスまりさは、相変わらずティガれみりゃに自分を見逃すよう説得を続けていた。 しかし、ティガれみりゃ相手にそんな交渉は意味も無く、 「ゆべしっ!」 次の瞬間、押しつぶされて体を四散させていた。 『う? またやっちゃったどぉ♪』 しかたない、それじゃ次のおまんじゅうで……。 ティガれみりゃは足下をみるが、そこには既にゲスまりさはいない。 それはそうだ。 3匹のゲスまりさは、他ならぬティガれみりゃによって殺されたのだから。 『う~~~! これじゃ、れみりゃにごはんをあげられないどぉ~~~!』 鼻の上のあたりを真っ赤にしてジタバタするティガれみりゃ。 『しゃくやーー! はやくれみりゃたちにぷっでぃんもってきてぇーー!』 と、お決まりに、いもしない従者の名前を呼ぶが、当然誰かがくるはずもない。 『うー……』 しかたなく、短い手と膝をつき、顔をよせて、 小さな親れみりゃに話しかけるティガれみりゃ。 『うー、ごめんだどぉ。おまんじゅうなくなっちゃたんだどぉー』 ティガれみりゃは詫びるが、 それに対して親れみりゃの方は全く気にする素振りもない。 それどころか、自分達をいじめたあの3匹のゲスまりさを、 まったく寄せ付けず倒してしまった強さに、ただただ感動していた。 「うーうー♪ れみりゃは気にしないどぉー♪ それより助けてくれてありがとうだどぉー♪」 『う~~? いいのぉー?』 ティガれみりゃからすれば、別に助けたつもりもなかったので、 ただただ自分のミスを許してくれて、おまけに何故か御礼を言われたことに気分を良くする。 『うー♪ ちっちゃなれみりゃは優しい良い子だどぉ♪ れみりゃは、れみりゃにごほうびをあげたいどぉー♪』 「うっ? ごほーび?」 『そうだどぉ♪ なんでも言ってねぇ~♪』 うっふんとウィンクし、 うんしょ、うんしょと立ち上がるティガれみりゃ。 「……うぅー」 親れみりゃは考える。 そして、自分の置かれた立場を思い出した。 迷子になってしまったこと、子供を失ってしまったこと。 次々に悲しみがよみがえってきて、自然と涙が流れてくる。 『うーっ! どぉーしたんだどぉ?』 「うーーー! うーーー! うーーー!」 『う~~、れみりゃに泣かれると、なんだかれみりゃもかなしくなるどぉ~~』 困ったような笑顔のまま、ティガれみりゃは目尻にうっすら涙を浮かべる。 「……う~、れみりゃ、おうちにかえりだいどぉ」 嗚咽をすすりながら、親れみりゃは口を開く。 そう、おうちへ帰ろう。 そして、ぷっでぃんを食べて、さくやに慰めてもらって、ふかふかのベッドで眠ろう。 親れみりゃは、それだけを強く願い始める。 『う~~♪ わかったどぉ~~♪』 「うっ?」 『れみりゃがいっしょにおうちを探してあげるどぉ♪』 ティガれみりゃは、潰さないよう、優しく手の平の上に親れみりゃを乗せ、 自分の顔の前へ持ってくる。 至近距離で互いの顔をじっと見つめ合う、ティガれみりゃと親れみりゃ。 『う~~♪ ちっちゃいれみりゃだどぉ~~♪』 「う~~♪ おっきぃれみりゃだどぉ~~♪」 自然と笑顔になる、ティガれみりゃと親れみりゃ。 『うっうー♪ ちっちゃいれみりゃもかわいいどぉー♪』 「うっうー♪ おっきぃれみりゃもかっこいいどぉー♪」 互いを褒め合い、たたえ合う2人(?) ティガれみりゃは、親れみりゃを自分の頭の上に乗せる。 「う~! すっごい高いどぉー! 風がきもちいいどぉー♪」 痛みも忘れ、喜ぶ親れみりゃ。 実際、既に手足はだいぶ再生しており、 ふりおとされないようティガれみりゃの頭にしがみつくくらいのことはできるようになっていた。 最弱といえど捕食種れみりゃ。ゆっくりゃザウルスとなっても再生力は健在である。 『うー、それじゃいっくどぉー♪』 「うーっ♪」 よったよったのしのし。 よったよったどったどった。 頭の上にゆっくりゃザウルスを乗せて、 ティガれみりゃは湖に背を向けて、森を進んでいく。 ……紅魔館は、湖の対岸にあるのだが、 そんなことはティガれみりゃも親れみりゃも知らなかった。 2人はそろって楽しげに、うぁうぁダンスのリズムを取り始める。 『「うーうーうぁうぁ♪ うーうーうぁうぁ♪」』 楽しげに歌って踊るうち、親れみりゃは、 自分の中に芽生えつつあった嫌な疑問を払拭しはじめていた。 疑問。 それは、あのゲスまりさ達がたびたび口にした内容。 "れみりゃ達はおぜうさまではなく、たべられちゃうにくまんなの?"という不安。 けれど、そんなのは気のせいだ。 あのいじわるなゆっくり達がウソをついたに決まっている。 (だって、こんなにも可愛くて強いティガれみりゃが、にくまんなわけないもん!) 親れみりゃは、強く確信し、ティガれみりゃにあわせて快心のリズムを刻んでいく。 『ティガ☆』 「れみ☆」 『りゃ☆』 「うー♪」 『「にぱぁ~~~♪」』 にぱぁ~のタイミングでティガれみりゃと親れみりゃは、 その下ぶくれスマイルを最高に輝かせた。 あまりにも歌も踊りも素敵だったから、気持ちよくて楽しかったから、 だから2人は気付かなかった。 ティガれみりゃの進む先、空中を浮遊する1人の少女の姿を。 人とも妖怪とも違う、もっと強くもっと恐ろしい、幻想郷からは本来姿を消した存在。 甘ったるい桃ばかりに飽きて、塩からいツマミを探していたその"鬼"の存在に。 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ4・誇りをかけた試練(後編)』 ============================ (あとがき) どうも、ティガれみりゃ第三回です。 すみません、ちょっと長くなってしまったので前編後編わけました。 ……というか、風邪をこじらせてしまいまして、 そろそろ意識が朦朧としてきたので、とりあえずここで区切らせていただきます。 (ほんとはこの先が書きたくて、このエピソード作ったのにorz) それと、本当にどうでも良いことではあるんですが、 そろそろモンハンが元ネタのタイトルが尽きてきました……。 byティガれみりゃの人 ============================ 続 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/456.html
ティガれみりゃ ======================== ≪はじめに≫ 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 ややパロディネタが多めかもしれません。 自分設定有りです。 虐め……というのとは少し違うかもしれません。 続きものです。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 ======================== 1、絶対強者 「うーうー!」 小高い山を越え、うーぱっくの群れが空を飛ぶ。 その数は30を越え、それぞれ背中にゆっくり達を載せている。 自慢のダンボールは、パンパンに膨れあがっており、 うーぱっくは、汗らしきものを浮かべて、「うぅーうぅー」と肩(?)で息をしている。 ダンボールの中には、人間達から盗んだ大量の野菜や、お菓子がつめられていた。 「ゆゆっ! しかっりしてよね、うーぱっく!」 「そうだぜ! はやくしないと、まりさ達がドスに怒られちゃうんだぜ!」 自分達は何もせず、うーぱっくに注文を出す、ゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 人間から盗みを働いた首謀者達だ。 「う~っ!」 力を振り絞り、岩山を越えていくうーぱっく。 すると、岩山の向こうには、直径500mほどの窪地が広がり、 無数のゆっくり達が、ゆっくりしていた。 「う~♪」 すごい! うーぱっく達は感心した。 これだけの数のゆっくりが、ゆっくりできる場所は、そうそう無い。 岩山の中の窪地は、緑こそ少ないものの、 適度に草花がはえ、岩の隙間からは清水が湧き出ている。 また、岩と岩の間には無数の洞窟があり、そこに入れば雨風も防げそうだ。 なにより、山間のこの窪地は、教えて貰わなければちょっと発見できそうにない。 他の捕食種とよばれるゆっくりや、野生の動物からも容易に身を隠せるだろう。 「うっうー♪」 れいむを背中に乗せ、先頭を飛ぶうーぱっくが、 後ろを飛ぶうーぱっく達にかけ声を飛ばす。 目的地が見え、「うーっ♪」と応えてテンションを上げる、うーぱっく達 これだけの群れに、これだけの量の食料を運ぶのは、 うーぱっく達にとっても初めてのことだった。 "頼まれ物を運んで、お礼をもらう" この習性を、自分達にしかできない大事な仕事だと考えるうーぱっく達にとって、 今回の依頼は、大変きわまりなかいものだが、それでも充実感を覚えていた。 「ゆっ! ドスまりさだ!」 嬉しそうに叫ぶれいむ。 うーぱっくが下を見ると、巨大なゆっくりまりさと、 その傍らにベッタリよりそっている、これまた巨大なゆっくりアリスがいた。 まりさは全長3メートルほど、 アリスもまりさほどではないが、ゆっくりとしては破格の2メートル級の体を持っていた。 俗に言う、"ドス種"。 ドスまりさと、クィーンアリスだ。 「おいっ、うーぱっく! ぐずぐずしないで早く下りるんだぜ!」 ドスまりさの所へ下りるよう催促する、まりさ。 余談だが、このまりさはまりさ種の中でも、タチが悪いとされている"ダゼまりさ"だった。 しかし、心優しいうーぱっく達は、まりさの横柄を気にとめず、 ドスまりさの前に、ゆっくりと着陸する。 『ゆゆっ! おかえり~! 食べ物は集まったの?』 巨大なドスまりさが口を開く。 「もちろんだよ、ドスまりさ!」 「そうだぜ! まりさ達の華麗な仕事っぷりを見せてやりたかったぜ!」 うーぱっくの背中からピョンと飛び降り、ドスの前で胸(?)を張る、れいむとまりさ。 実際、いちばん苦労したのはうーぱっく達なのだが、 このれいむ達にとって、そんなことは関係無い。 「もう! なにしてるの、うーぱっく! はやくれいむ達のご飯を、ドスに見せてね」 「うー!」 うーぱっく達は、ガサゴソとダンボールの蓋を開き、 中に押し込められていた大量の食べ物を地面に下ろしていく。 『ゆぅ~っ! すごぉ~い!』 『それでこそ、とかいはのアリスとまりさの子供達よ!』 感嘆の声を上げるドスまりさと、クィーンアリス。 ちなみに、れいむもまりさもクィーンアリスの子供ではないのだが、 どうやらアリスの中では、愛しのドスまりさとの間にできた子供…という設定が完成しているらしい。 勝手な思いこみに違いなかったが、ドスまりさ自身、クィーンアリスには好意を持っていたし、 他のゆっくり達にとっても、強大なクィーンアリスに愛されることは、損ではなかった。 「さっそくみんなで食べようよ、ドスまりさ!」 れいむがピョンピョン跳ねて、ドスまりさを急かす。 そこに、体付きのゆっくりぱちゅりーが現れ、ワガママなれいむを戒めた。 「むきゅ! だめよれいむ。これは冬を越えるための大事な食料なんだから」 このぱちゅりーと、ドスまりさ、クィーンアリスは、子供の頃からの付き合いで、 3人で協力してこの場所をみつけ、この一大ゆっくりコロニーを築きあげたのだった。 ぱちゅりーは体が弱く、ドスまりさやクィーンアリスのように力は無かったが、 そのぶん知恵がまわり、この群れの参謀役を務めていた。 「ったく、ぱちゅりーはいつもケチケチだぜ!」 悪態をつく、まりさ。 『まぁまぁ、れいむやまりさも疲れているだろうし、一口だけ食べようよ? それで残りは冬支度に回す……ぱちゅりーもそれでいいよね?』 「……むきゅー。ドスまりさがそう言うなら」 「わーい! だからドスまりさ大好きぃー!」 喜ぶ、れいむとまりさ。 「なになに~ごちそう?」 「わかるよー。みんなで食べるよぉー」 「ちぃーんぽ!」 すると、いつの間にかこの窪地に住む他のゆっくり達も集まりだしていた。 皆、この御馳走のご相伴にあずかろうという腹づもりだ。 「むきゅ!そんなに食べたら……」 『も~しょうがないなぁ。みんな一口だけだよ?』 止めようとするぱちゅりーを遮り、 群れのリーダーであるドスまりさが、許可を出してしまう。 「「「「いっただきまぁ~す!」」」」 言うや否や、何十匹ものゆっくりが、いっせいに食べ物にむしゃぶりつく。 「むーしゃむーしゃ♪」 「なにこれ、めっちゃうめぇ!」 「しあわせぇ~♪」 ゆっくり達は、人間達から盗んできた御馳走を貪り食っていく。 既に"一口だけ"の約束が忘れ去られてしまっていることに、気を揉むぱちゅりー。 そして、気を揉む存在がこちらにも。 「「「うーうー!」」」 うーぱっく達だ。 食事に夢中なゆっくり達を囲み、催促するように鳴き声をあげる。 うーぱっく達は、頼まれた物を頼まれた場所に届け、 その御礼として食べ物を分けて貰うことで生態を成り立たせている。 これだけの量の食べ物を運んだのだから、相応の御礼を貰わなければつりあわない。 「ゆっ?」 「なんだぜ、うーぱっく! せっかくまりさ達が御馳走を食べてるのに!」 面倒くさそうに食べるを止め、小うるさそうにうーぱっく達を見る、れいむとまりさ。 「うーっ!うーっ!」 うーぱっくは、羽をパタパタと動かし、ゆっくり達が食べる御馳走を指差す。 うーぱっく達にもわけて~というアピールだ。 だが、そんなうーぱっく達に対し、れいむとまりさはバカにしたように目を細める 「見ろよれいむ、たかだか運び屋のぶんざいで、まりさ達の御馳走をねだってやがるぜ」 「おお、あさましいあさましい」 そう言うと、れいむとまりさは人間の家から盗みだしたお菓子をくわえ、 うーぱっく達の目の前で「むーしゃむーしゃ」と食べ始めた。 「「「うー!?」」」 驚くうーぱっく達。 目こそいつものニコニコ目だが、互いの顔を見合わせ少なからず動揺を露わにする。 そして、ゆっくりの中では、かなり頭の良い部類に入るうーぱっく達は、一つの結論を導き出す。 すなわち、このゆっくり達は、最初から自分達をいいように利用して騙すつもりだったのだと。 「「「うーっ!」」」 一同、抗議の声を上げるうーぱっく達。 温厚なうーぱっく達だが、契約不履行の不届き者には、相応の態度を見せる。 羽を動かし、ペチペチとれいむとまりさの頬を叩き、驚いた隙に食べ物を奪い去る。 「ゆゆっ! なにするの!」 「やめるんだぜ! それはまりさ達のものだぜ!」 「「「うーうー!」」」 構わず、同じようにペチペチとゆっくり達の頬を叩いては、食べ物を奪っていくうーぱっく。 ニコニコと笑ったままのその顔が、逆に恐ろしい。 「ゆっくりやめてね!」 「それはとかいはのアリスのものよ! いなかもの!」 「わからないよー!」 「ゆっくりできないうーぱっくは、ゆっくりいなくなってね!」 うーぱっく達の正当な抗議に、不満を叫び出すゆっくり達。 だが、空を飛び、しかも団体行動になれているうーぱっく達の連携に、 食べ物は次々奪われていく。 「「「ゆぅぅ~~! ドスまりさぁ~~!!」」」 たまらずドスまりさを呼ぶ、ゆっくり達。 そのドスまりさといえば、クィーンアリスとともに自分の食事をするのに夢中であった。 『……ゆぅ~~~? どうしたのみんなぁ?』 言われるまで気づかないというのが、いかにもゆっくりらしい。 ドスまりさは、しばらく間を置いてから、ようやくゆっくり達に呼ばれていることに気が付いた。 『ゆゆぅぅぅっ! なにしてるのうーぱっく!!』 その光景を見て、驚くドスまりさ。 自分の群れのゆっくり達が、うーぱっくに虐められ、 苦労して集めた御馳走を横取りされているではないか! ……と、ドスまりさのゆっくり脳は瞬時に都合良く解釈した。 しかし、いかなゆっくり脳の持ち主とはいえ、 くさっても巨体と長寿を誇るドスまりさ。 こうなると群れを率いるリーダーとして、都合良く燃え出すのであった。 『ゆぅぅぅっっ!』 「う~?……うぎゃ!」 ドスまりさは、ぐにょんと体を下に押し込めたかと思うと、反動をつけて前方にとび跳ねる。 そして、目の前にいたうーぱっくに体当たりをしかけ、窪地の周囲の岩壁に叩きつけた。 「「うーっ!?」」 驚いたのは、うーぱっく達。 通常、ドスまりさは巨体に見合った経験と知識も併せ持っており、 今回の件の非がどちらにあるかは、自ずとわかってもらえると期待していたのだ。 『うーぱっく! まりさの仲間を一方的にいじめるなんて、絶対にゆるさないよ!』 「「ううーーー!??」」 全然、期待通りにはいかなかった。 戸惑い、慌てるうーぱっく達。 「むきゅ! まりさ、うーぱっく達は……」 『ぱちゅりーは黙っていてね! まりさはみんなを守るよ!』 うーぱっく達の抗議の理由を知るぱちゅりーが、ドスまりさを止めようとするが、 変な使命感のスイッチが入ってしまったドスまりさは止まらない。 このドスまりさは、確かに長い時間を生き、ドスの名にふさわしい巨体と力を得ていた。 だが、本来一人で生きて得るはずの知識や思慮を幼なじみのぱちゅりーの頼りっぱなしにしてきたため、 どうにも考えの足りないドスまりさになってしまっていた。 「「うーっ!」」 だが、うーぱっく達は、そんなことは知らない。 羽を動かし、自分達が運んできた食料を指す、うーぱっく。 なんとか自分達の誤解をといて、わかってもらおうとする。 『……わかったよ、うーぱっく』 「「うー♪」」 『うーぱっく達は、まりさ達を騙して食べ物を横取りするつもりだったんだね!』 「「うううーっ!???」」 全然わかってなぁーい! うーぱっく達は、全員が同時に心の中でツッコミの声をあげる。 『まりさ達をゆっくりさせないうーぱっくは、ゆっぐりじねぇぇぇぇぇっっ!』 ドスまりは天高く舞い上がり、その巨体を地面に叩きつける。 何匹かのうーぱっくが、その巨体の犠牲となる。 「「ううーっ!」」 これ以上ここにいてはいけない! うーぱっく達は身の危険を感じ、一目散に空高くへ舞い上がる。 「「うわぁぁーん! ドスまりさなんてきらいぃぃー!」」 自分達の誇り高い仕事が失敗に終わったこと、 つらい時も楽しい時も一緒だった、大事な仲間を失ったこと、 うーぱっく達は、目から涙を流して飛び去っていく。 だが。 『逃がさないよ!うーぱっく!……ひぃぃ~~~~っさつ!』 ドスまりさは、大きな口を思い切り開く。 すると口の中から淡い光がもれはじめ、瞬く間にまぶしい程の輝きを放ち始める。 「ゆゆっ!出るよ、ドスまりさの必殺技!」 「やっちゃうんだぜドスまりさ! バカなうーぱっくどもに身の程わからせてやるんだぜ!」 『すてきよぉぉまりさぁぁぁ!』 「む、むきゅう~!だ、だめよぉ、まりさぁ!」 事情を理解しているぱちゅりーを除いて、俄然もりあがるゆっくり達。 クィーンアリスに至っては、ドスまりさの勇姿に目をトロ~ンとさせている。 『ひっさつ!ドスパァァァーク!!』 「う、ううぅぅぅぅぅーーーっ!」 叫ぶと同時にドスまりさの口からレーザーが発射される。 そのレーザーは空を切り裂き、泣きながら逃げ去るうーぱっく達を直撃した。 超高温のレーザーは、ダンボールでできたうーぱっくの体を一瞬で焼き尽くし、 そらからは燃えかすとなったうーぱっく達がボトボトと地面に落ちていく。 「「「ゆぅぅぅ! すごぉぉぉーい!」」」 その圧倒的な威力に、群れ全体から感嘆の声があがる。 ドスまりさは群れのゆっくり達にむき直り、誇らしげに胸(?)をはった。 『みんなのことはまりさが守るよ! だから安心してゆっくりしてね!』 「「「ゆっくりぃぃ~~~♪」」」 喜びの声をあげるゆっくり達。 ただ一人、ぱちゅりーだけが浮かない顔して、岩の隙間の洞窟へと入っていく。 「むきゅう……」 今回の件の非は、あきらかにこちらにある。 なにか悪いことが起きなければよいけれど……。 その不安からか、ぱちゅりーは体に疲れを覚え、洞窟の奥で眠りについた。 けれど、このぱちゅりーの予感は、すぐに当たることになってしまう。 数時間後。 空には満月が登り、本来ならばゆっくり達も眠りにつく頃。 だが、山間の窪地では、いまなお多くのゆっくり達が食べや歌えやで大騒ぎをしている。 「ゆっゆっゆっ~~♪」 「だぜだぜだぜぇ~~♪」 『すごぉーい! みんなお歌が上手だねぇ!』 『さすがとかいはのアリスの子! 良いセンスをしてるわぁ!』 昼間の一件で、すっかりテンションの上がってしまったドスまりさの群れは、 あれからずぅ~と宴会を開いていた。 もはや、ぱちゅりーとの"冬の支度のために食べ物をとっておく"という約束は、頭の中になかった。 ゆっくり食べてはゆっくり踊り、ゆっくり食べてはゆっくり歌う。 「ゆゆゆ~~ゆゆゆ~~♪」 「だぜだぜ~~だぜだぜ~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆっ?』 ドスまりさは疑問に思った。 今、群れのれいむ達の歌に混じって、何か聞こえたような? 「ゆゆゆゆ~ゆゆゆゆ~ゆっゆっゆっ~~~♪」 「だぜぜ~だぜぜ~だっぜっぜぇ~~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆゆっ!?』 「「「ゆゆゆっ!?」」」 やはりだ。 気のせいじゃない。 今度はドスまりさだけじゃなく、他のゆっくり達にも聞こえたようだ。 ゆっくり達は、ひとまずバカさわぎを止め、あたりを見回す。 だが、本来夜の間は寝るのが"殆どの"ゆっくり達の生態のため、 ゆっくりの中で夜目が効く者はほとんどいない。 が、それにも関わらず。 ソレの存在はゆっくり達にもハッキリ視認できた。 『あれは、ゆっくりゃザウルス!!』 一番最初にみつけたクィーンアリスが叫び、それに呼応して他のゆっくり達もそちらを見る。 ゆっくり達の視線の先。数百メートルは離れた位置。 そこには、よたよたドタドタ踊るようにステップを踏み、ゆっくり達に近づいてくる不思議な生物がいた。 長生きをしていたクィーンアリスと、ドスまりさは、己の経験に基づきその生物をこう認定した。 あれは、ゆっくりゃザウルスだと。 ゆっくりゃザウルス。 それは、代表的な捕食種・ゆっくりれみりゃの亜種である。 亜種という意味では、昼間ドスパークの餌食になったうーぱっく達もそうだが、 近年比較的多く見かけるようになったうーぱっく達と異なり、 ゆっくりゃザウルスは、非常に見かけるのが希な亜種……即ち希少種であった。 その姿は、人間からみれば愛らしくも映る。 体つきのゆっくりれみりゃが、ダボダボくたくたの恐竜の着ぐるみを纏ったような姿。 それが、ゆっくりゃザウルスの特徴だった。 ずいぶんとディフォルメされた緑色の恐竜の、大きく開かれた口から、 れみりゃ種特有の「うーうー♪」という下ぶくれ気味の笑顔が覗いている。 体は筋肉質とは程遠く、まるでクッションかヌイグルミのような柔らかさで、 お腹のあたりに、有袋類…といえば聞こえが良いが、どう見ても縫いつけたような大きなポケットがある。 「ゆゆゆゆ~!大変だよ!れみりゃだよ!」 あれが、自分達を食べる捕食種の一種だと知り、慌てるれいむ。 「ま、まりさはおいしくないぜ! たべるなられいむの方がおいしいんだぜ!」 「どぉじでぞんなごどいうのぉぉぉーーっ!?」 にわかに群れに広がるパニック。 だが、ドスまりさがそれを鎮める。 『大丈夫! 安心してよみんな!』 「ゆゆっ?」 「わかるよ~! こっちにはドスまりさがいるんだよ~!」 『まりさとアリスにとって、ゆっくりゃザウルスなんて敵じゃないよ!』 そう言って笑顔を向けるドスまりさ。 「なんて頼もしいんだ!」群れのゆっくり達は、ドスの笑顔に安心して落ち着きを取り戻す。 『まりさとアリスは、もっと小さき時に……それこそみんなと同じくらいの時に、 ゆっくりゃザウルスを倒したことがあるんだよ♪』 「「「すっごぉ~~~い!」」」 再びあがる感嘆の声。 それを誇らしげに受け止めるドスまりさ。 ドスまりさの言ったことは確かに事実であった。 ……もっとも、ゆっくりゃザウルスのことを良く知るものが聞けば、 それが大した自慢にならないこともわかるのだが。 ゆっくりゃザウルスは、確かに希少種だ。 だが、希少なのには理由がある。 すなわち、ゆっくりゃザウルスは、れみりゃ種の中でも"最も弱い"種類だからだ。 亜種の多い、ゆっくりれみりゃだが、一応それぞれに進化と思われる特徴を持っている。 体が無く、耳のあたりに羽をつけているタイプは、れみりゃ種の中でも最もバランスが良い。 飛行能力も高く、蝙蝠やイルカにも似たエコーロケーション能力を持っており、 暗い場所でも自由自在に動くことができる。 うーぱっくは、敏捷性や攻撃能力では上記のれみりゃに劣るものの、 そのぶん他の物(者)を上に載せて飛ぶ能力にすぐれている。 また、協調性に優れ、ゆっくり達の運送屋さんとしての地位を確立することで、 自然界の中で主立った敵を作らず、共生関係を築き上げていた。 胴体と四肢のついたれみりゃは、紅魔館のすぐそばでよく見かけられる。 重たい体がついたのが逆効果となり、飛行能力・運動能力は明らかに低くなっているが、 それでも(極めて不器用ではあるが)手足が使えるメリットは大きいし、 なにより紅魔館の主の姿と似ているために、館のメイド達から寵愛を受けられるという面もある。 ……では、ゆっくりゃザウルスはどうか? 悲しいかな、これといって優れた点が無いのだ。 背中から羽は失われ、空を飛ぶことはできない。 手足や指先は恐竜のヌイグルミ状になっているため、細かい作業も全くできない。 ずんぐりむっくりした体は重たく、生きる上で極めて燃費効率が悪く、すぐ疲れてしまう。 おまけに、なまじ体が重くなったぶん、本人は強くなったと勘違いし、無駄に気が大きくなる傾向がある。 では、なぜそんなにも不都合だらけのゆっくりゃザウルスへと姿を変える必要があるのか。 それは、ゆっくりの研究者達の間でもまだ解明されていない。 いずれにせよ、そんなゆっくりゃザウルスであるが故に、 本来獲物であるはずのゆっくり達に、逆に返り討ちにあってしまうこともままあるのだ。 まして、ドスまりさとクィーンアリスからみれば、 逆に向こうから美味しい肉まんがやって来たようなものだ。 「ティ~ガティガティガ♪」 歌いながら、えっちらおっちら満面の笑顔で歩いていくるゆっくりゃザウルス。 その声が、徐々にはっきり聞こえてくる。 『ゆぅ~♪ みんな、今日はおいしい肉まんがたべられるよ♪』 「「「わぁ~~い♪」」」 余裕のゆっくり達。 しかし、その余裕がゆっくり達に、本来気付くべき疑念を忘れさせてしまっていた。 なぜ、数100メートルも先のゆっくりゃザウルスを、夜目の効かないゆっくり達が見えているか。 なぜ、まだまだ遠くにいるはずのゆっくりゃザウルスの歌が、こんなにもハッキリ聞こえるのか。 そして、なぜゆっくりゃザウルスが近づいてくるたびに、地面がドシンドシンと揺れるのか。 数秒後、ゆっくり達は嫌がおうにも、その理由をわからされることになる。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 「「「『ゆげぇっ! お、おおきぃぃぃぃっっっ!!??』」」」 目の前まで来て足を止めたソレを見上げ、一同に驚愕の叫びをあげるゆっくり達。 ドスまりさとクィーンアリスさえ、呆気にとられてソレを見上げている。 身長はゆうに10メートルを越え、尻尾の部分をあわせた全長は20メートルにも届かんほどだ。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~♪』 ソレは、自らがれみりゃ種であることを示すように、自らの存在を知らしめるように、 両手を顔の横に上げ、れみりゃ種特有の"れみりゃダンス"を行った。 「「「ゆゆゆゆっ!」」」 ソレがダンスのステップを踏む度、地響きが起こり、小さなゆっくり達を震えさせる。 『や、やめてよね!ゆっくりゃザウルスのくせに、まりさ達をおどかさないでね!』 ぷく~と頬を膨らませ、見上げるソイツに告げるまりさ。 一方、そのれみりゃは不思議そうに、首をひねった。 『う~? ゆっくりゃザウルス?』 『そうだよ! おまえのことだよ! 自分のこともわからないなんて、ゆっくりゃザウルスは本当にバカなんだね!』 『うーうー! れみりゃはぁー、ゆっくりゃザウルスじゃないどぉー♪』 『え?』 『れみりゃはぁ~♪』 にぱぁ~☆と満面の笑顔を浮かぶ。 『ティガれみりゃだどぉー♪』 そう、この巨大なれみりゃは、ゆっくりゃザウルスではなかった。 圧倒的な巨体と力を持つ、ドス種を越える超巨大・突然変異ゆっくり、ティガれみりゃだったのだ! 『……ティ、ティガれみりゃだなんて知らないよ! バカなれみりゃはおとなしくまりさ達に食べられてね!』 巨体にプレッシャーを感じつつ、あくまで虚勢を張るドスまりさ。 他のゆっくり達も、ドスまりさなら負けるハズないと、徐々に落ち着きを取り戻していく。 「そうだよ! ばかなれみりゃはゆっくり死んでね!」 「ドスが、おまえなんかに負けるわけないんだぜ!」 ゆっくり達が、わーわーと騒ぎ立てる。 それ見回してニコニコするティガれみりゃ。 『うー♪ おいしそうなおまんじゅうがいっぱいだどぉー♪』 そう言うと、ティガれみりゃはクィーンアリスを片手で掴み上げ、口の前へと運ぶ。 『ゆぅ!?』 「クィーンアリスが!」 「おとなしくアリスを離すんだぜ!」 あっさりつかまってしまった群れのナンバー2に、ざわめくドスまりさとゆっくり達。 当のクィーンアリスは、頬を膨らませて、ティガれみりゃを罵っている。 『これだからマナーを知らないいなかものは! とかいはのアリスにこんなことしてただですむと思わないでね!』 そんなアリスをじぃ~っと見つめて観察するティガれみりゃ。 『うぅ~♪ よくみるとぶさいくなおまんじゅうだどぉ』 『ゆぎぎぎぃぃぃぃぃっ! とかいはのアリスに向かってよくもぉぉぉっ!』 逆上するクィーンアリス。 対するティガれみりゃは…… 『うー♪ うるさいおまんじゅうだどぉ♪』 と言ってから、そのまま「あ~~ん」と大口を開け、クィーンアリスにかぶりついた。 『ゆげぇぇぇぇぇえ!』 『あ、アリスゥゥゥッッッ!!』 たまらず断末魔を上げるクィーンアリスと、ドスまりさ。 クィーンアリスの体はたった一口で半分がえぐりとられ、その生命活動を停止させた。 『う~♪ がじがじ~♪』 そのまま美味しそうにクィーンアリスの残骸を食べ続けるティガれみりゃ。 2メートルあった、クィーンアリスの体も、数秒で消滅してしまった。 『うっうー♪ おいしかったどぉー♪』 舌をペロリと回し、口の周りについたクリームを舐めとるティガれみりゃ。 その光景を見ていたドスまりさの怒りは、既に限界を遙かに超えていた。 『ゆぎぎぎぎぎぎぎ……ゆ、ゆるさないっ、ぜぇったいにゆるさないぃぃぃぃっ!!!!!』 『う~?』 『ゆっぐりじないでじねぇぇぇぇぇぇ!!!!!』 「で、でるぜ! ドスの必殺技!」 『ドスパァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーク!!!!!!!』 ドスまりさは口を開け、高温のレーザーを放つ。 怒りにまかせて全ての力を結集したそれは、昼間うーぱっくを仕留めたのとは比較にならない程の出力となる。 夜の闇を、貫くドスパークの光。 これを受けて無事なゆっくりなどいるはずがない。 いや、人間はおろか妖精や妖怪とてただでは済むまい。 『……うぅぅぅぅぅ! アリスぅぅぅぅ、かたきはとったよぉぉぉぉぉ!』 嗚咽混じりで天に吠えるドスまりさ。 誰よりキレイだったクィーンアリス、彼女はお空のお星様になってしまったんだ。 ドスまりさとゆっくり達はそう思い、ドスパークの衝撃で巻き起こった土煙の先、 クィーンアリスのお星様を見ようと、夜空を見上げようとする。が。 『う~? なんかあったかいどぉ~…なんだか汗かいちゃったどぉ~♪』 「「「『ゆ、ゆげぇぇ!?』」」」 見えるハズのお星様が見えず、 見上げた先には、変わらずティガれみりゃが立っていた。 その体には傷一つなく、下ぶくれの笑顔に少し汗をかいているだけだった。 『どぉじでぇぇ! なんでドスパークがぎがないのぉぉぉぉぉっ!!??』 『う~、汗かいたら、またおなかすいちゃったどぉ~♪』 ティガれみりゃは、おなかのあたりをおさえ、少し頬を紅潮させた。 "こーまかんのれでぃーである"という自負からなのか、 食べてすぐ、またおなかをすかせることが恥ずかしいようだ。 とはいえ、そこはゆっくり。 恥じらいよりも、まずは欲求に従う。 そこはティガれみりゃといえど、変わらなかった。 『ぎゃぉー♪ いっただきまぁーす♪』 『ゆべぇ!!?? 、は、はなじてぇぇぇぇ!!!』 「「「どどどど、ドス!?」」」 足下ではねまわるドスまりさを難なく掴み上げると、口の前に運ぶティガれみりゃ。 『がじ、がじ、がじぃ~♪』 『ゆべっ!うげぇ!ゆぶぁ!!』 みるみるドスまりさの体は小さくなっていき、 10秒もたたずに、全てティガれみりゃの口の中に消えていった。 『う~、おいしぃ~♪』 「「「…………」」」 あまりにも信じられないことが起きた時、人は一切の思考が働かなくなる。 それは、ゆっくり達にもあてはまるらしい。 なすすべ無く食べられるドスまりさを目の当たりにした無数のゆっくり達は、 ただ無言のまま固まってしまっていた。 一方、ティガれみりゃはというと、お腹についたポケットの中に手をつっこみ、 何かをゴソゴソと取り出した。 『うっう~! すぴあ☆ざ☆ぐんぐにる~♪』 まるで、22世紀の猫型ロボットが便利道具を取り出すように、 ティガれみりゃはポケットから、引き抜かれた立ち枯れの木を取り出し、天に掲げた。 「「「ゆゆゆゆ!?」」」 誇らしげなティガれみりゃの様子に、本能的に身の危険を感じるゆっくり達。 金縛りをといて、それぞれ四方八方に逃げだそうとする。 『ぎゃおー♪ たーべちゃうぞぉー♪』 「「「ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁっっっ!」」」 ゆっくりプレイスだったハズの山間の窪地は、あっという間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 『れみりゃのおだんごぉー♪ とぉーってもおいしぃーどぉー♪』 ティガれみりゃは口ずさみながら、比較的大きめのゆっくりを摘むと、それを次々枯れ木に刺していく。 「「「ゆげぇ」」」 鳴りやまないゆっくり達の悲鳴。 あるゆっくりは岩陰や洞窟に逃げ込もうとするが、 ティガれみりゃは「うー、岩いらなーい!ぽいぽいぽぉーーい♪」と、 岩そのものを持ち上げどけて、隠れていたゆっくり達をつまみだした。 『うー、すごいどぉー! れみりゃは狩りの天才だどぉー♪』 やがて、そこそこ育って美味しそうなゆっくりを全て枯れ木に刺して、 ゆっくりだんごを完成させたれみりゃは、満足そうに自分を讃えた。 自分達は助かったのか? そう思った残りのゆっくり達は、おそるおそる隠れていた場所から外へでる。 『う~~~う~~~♪』 しかし、ティガれみりゃがリズムを刻みだしたのを見て、ゆっくり達は己の軽率さを憎み、 そして、短いゆっくり人生の終わりを実感するのだった。 『うっうーうぁうぁー♪ うっうーうぁうぁー♪』 どっすんどっすんと、喜びのダンスを踊るティガれみりゃ。 なんとかゆっくりだんごを逃れたゆっくり達も、あるものは踊るティガれみりゃの足や尻尾に潰され、 あるものは、ティガれみりゃのステップの影響で岩や土が崩落し、その餌食となった。 ゆっくり達の理想郷は、こうして壊滅した。 ……そう、一人の目撃者を除いて。 翌日。 ティガれみりゃの襲来をやりすごした目撃者。 その生き残りは、ティガれみりゃへの恐怖と、震えたまま動けなかった自分を呪い、 洞窟の奥から出ることが出来ずにいた。 「む、むきゅぅぅぅ……」 その生き残りの正体は、洞窟の最奥、もっとも地盤の安定した箇所に隠れていたぱちゅりーだった。 群れの全滅を嘆き、幼なじみのドスまりさとクィーンアリスの死を悲しみ、泣き続けるぱちゅりー。 昨夜、先に寝ていたぱちゅりーは、外が騒がしいのに気付き、一度は目を覚ました。 だが、外へ出ようとしたその刹那、ドスまりさがティガれみりゃに食べられるのを目撃してしまったのだ。 どうするべきか全くわからなくなってしまったぱちゅりーは、唯一残された生物としての本能、 すなわち"生き残る"という目的にのみ従って、こうして群れが全滅してティガれみりゃが去るまでの間、 隠れ続けていたのだ。 「むきゅぅぅぅぅ! むきゅうううううう!」 思い出しては、こみ上げる感情に逆らえず泣き崩れるぱちゅりー。 それから、また一日がすぎた。 朝日が山間の窪地を照らす中、ぱちゅりーは外へ出た。 その目に決意の炎を宿して。 二日近く考え抜いたぱちゅりー。 彼女は、ドスまりさ達の死を無駄にしてはいけないと考えた。 そして、生き残った自分だからこそ出来ることがあるはずだと結論づけた。 そう、他の群れにティガれみりゃという脅威を報せ、 ともに戦わなければならないと。 一方その頃、どこかの森で。 今日もティガれみりゃの歌が聞こえていた。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ2・異常震域』 ============================ (あとがき) 休日出社中、上司の机に『モンハン』のティガレックスのフィギュアが置いてありまして、 気付いたらこんなものを書き始めていました。……二次設定のSS書くの何年ぶりだろう(汗 「ゆっくり好き」+「れみりゃ好き」+「怪獣好き」+「モンハン好き」 そんな作者の妄執が具現化したようなSSですが、もし楽しんでいただけましたら幸いです。 ちなみに、言う必要も無いかもですが、ティガれみりゃの歌はアノ映画の歌が原型ですw ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/758.html
ティガれみりゃ ======================== ≪はじめに≫ 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 ややパロディネタが多めかもしれません。 自分設定有りです。 虐め……というのとは少し違うかもしれません。 続きものです。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 ======================== 1、絶対強者 「うーうー!」 小高い山を越え、うーぱっくの群れが空を飛ぶ。 その数は30を越え、それぞれ背中にゆっくり達を載せている。 自慢のダンボールは、パンパンに膨れあがっており、 うーぱっくは、汗らしきものを浮かべて、「うぅーうぅー」と肩(?)で息をしている。 ダンボールの中には、人間達から盗んだ大量の野菜や、お菓子がつめられていた。 「ゆゆっ! しかっりしてよね、うーぱっく!」 「そうだぜ! はやくしないと、まりさ達がドスに怒られちゃうんだぜ!」 自分達は何もせず、うーぱっくに注文を出す、ゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 人間から盗みを働いた首謀者達だ。 「う~っ!」 力を振り絞り、岩山を越えていくうーぱっく。 すると、岩山の向こうには、直径500mほどの窪地が広がり、 無数のゆっくり達が、ゆっくりしていた。 「う~♪」 すごい! うーぱっく達は感心した。 これだけの数のゆっくりが、ゆっくりできる場所は、そうそう無い。 岩山の中の窪地は、緑こそ少ないものの、 適度に草花がはえ、岩の隙間からは清水が湧き出ている。 また、岩と岩の間には無数の洞窟があり、そこに入れば雨風も防げそうだ。 なにより、山間のこの窪地は、教えて貰わなければちょっと発見できそうにない。 他の捕食種とよばれるゆっくりや、野生の動物からも容易に身を隠せるだろう。 「うっうー♪」 れいむを背中に乗せ、先頭を飛ぶうーぱっくが、 後ろを飛ぶうーぱっく達にかけ声を飛ばす。 目的地が見え、「うーっ♪」と応えてテンションを上げる、うーぱっく達 これだけの群れに、これだけの量の食料を運ぶのは、 うーぱっく達にとっても初めてのことだった。 "頼まれ物を運んで、お礼をもらう" この習性を、自分達にしかできない大事な仕事だと考えるうーぱっく達にとって、 今回の依頼は、大変きわまりなかいものだが、それでも充実感を覚えていた。 「ゆっ! ドスまりさだ!」 嬉しそうに叫ぶれいむ。 うーぱっくが下を見ると、巨大なゆっくりまりさと、 その傍らにベッタリよりそっている、これまた巨大なゆっくりアリスがいた。 まりさは全長3メートルほど、 アリスもまりさほどではないが、ゆっくりとしては破格の2メートル級の体を持っていた。 俗に言う、"ドス種"。 ドスまりさと、クィーンアリスだ。 「おいっ、うーぱっく! ぐずぐずしないで早く下りるんだぜ!」 ドスまりさの所へ下りるよう催促する、まりさ。 余談だが、このまりさはまりさ種の中でも、タチが悪いとされている"ダゼまりさ"だった。 しかし、心優しいうーぱっく達は、まりさの横柄を気にとめず、 ドスまりさの前に、ゆっくりと着陸する。 『ゆゆっ! おかえり~! 食べ物は集まったの?』 巨大なドスまりさが口を開く。 「もちろんだよ、ドスまりさ!」 「そうだぜ! まりさ達の華麗な仕事っぷりを見せてやりたかったぜ!」 うーぱっくの背中からピョンと飛び降り、ドスの前で胸(?)を張る、れいむとまりさ。 実際、いちばん苦労したのはうーぱっく達なのだが、 このれいむ達にとって、そんなことは関係無い。 「もう! なにしてるの、うーぱっく! はやくれいむ達のご飯を、ドスに見せてね」 「うー!」 うーぱっく達は、ガサゴソとダンボールの蓋を開き、 中に押し込められていた大量の食べ物を地面に下ろしていく。 『ゆぅ~っ! すごぉ~い!』 『それでこそ、とかいはのアリスとまりさの子供達よ!』 感嘆の声を上げるドスまりさと、クィーンアリス。 ちなみに、れいむもまりさもクィーンアリスの子供ではないのだが、 どうやらアリスの中では、愛しのドスまりさとの間にできた子供…という設定が完成しているらしい。 勝手な思いこみに違いなかったが、ドスまりさ自身、クィーンアリスには好意を持っていたし、 他のゆっくり達にとっても、強大なクィーンアリスに愛されることは、損ではなかった。 「さっそくみんなで食べようよ、ドスまりさ!」 れいむがピョンピョン跳ねて、ドスまりさを急かす。 そこに、体付きのゆっくりぱちゅりーが現れ、ワガママなれいむを戒めた。 「むきゅ! だめよれいむ。これは冬を越えるための大事な食料なんだから」 このぱちゅりーと、ドスまりさ、クィーンアリスは、子供の頃からの付き合いで、 3人で協力してこの場所をみつけ、この一大ゆっくりコロニーを築きあげたのだった。 ぱちゅりーは体が弱く、ドスまりさやクィーンアリスのように力は無かったが、 そのぶん知恵がまわり、この群れの参謀役を務めていた。 「ったく、ぱちゅりーはいつもケチケチだぜ!」 悪態をつく、まりさ。 『まぁまぁ、れいむやまりさも疲れているだろうし、一口だけ食べようよ? それで残りは冬支度に回す……ぱちゅりーもそれでいいよね?』 「……むきゅー。ドスまりさがそう言うなら」 「わーい! だからドスまりさ大好きぃー!」 喜ぶ、れいむとまりさ。 「なになに~ごちそう?」 「わかるよー。みんなで食べるよぉー」 「ちぃーんぽ!」 すると、いつの間にかこの窪地に住む他のゆっくり達も集まりだしていた。 皆、この御馳走のご相伴にあずかろうという腹づもりだ。 「むきゅ!そんなに食べたら……」 『も~しょうがないなぁ。みんな一口だけだよ?』 止めようとするぱちゅりーを遮り、 群れのリーダーであるドスまりさが、許可を出してしまう。 「「「「いっただきまぁ~す!」」」」 言うや否や、何十匹ものゆっくりが、いっせいに食べ物にむしゃぶりつく。 「むーしゃむーしゃ♪」 「なにこれ、めっちゃうめぇ!」 「しあわせぇ~♪」 ゆっくり達は、人間達から盗んできた御馳走を貪り食っていく。 既に"一口だけ"の約束が忘れ去られてしまっていることに、気を揉むぱちゅりー。 そして、気を揉む存在がこちらにも。 「「「うーうー!」」」 うーぱっく達だ。 食事に夢中なゆっくり達を囲み、催促するように鳴き声をあげる。 うーぱっく達は、頼まれた物を頼まれた場所に届け、 その御礼として食べ物を分けて貰うことで生態を成り立たせている。 これだけの量の食べ物を運んだのだから、相応の御礼を貰わなければつりあわない。 「ゆっ?」 「なんだぜ、うーぱっく! せっかくまりさ達が御馳走を食べてるのに!」 面倒くさそうに食べるを止め、小うるさそうにうーぱっく達を見る、れいむとまりさ。 「うーっ!うーっ!」 うーぱっくは、羽をパタパタと動かし、ゆっくり達が食べる御馳走を指差す。 うーぱっく達にもわけて~というアピールだ。 だが、そんなうーぱっく達に対し、れいむとまりさはバカにしたように目を細める 「見ろよれいむ、たかだか運び屋のぶんざいで、まりさ達の御馳走をねだってやがるぜ」 「おお、あさましいあさましい」 そう言うと、れいむとまりさは人間の家から盗みだしたお菓子をくわえ、 うーぱっく達の目の前で「むーしゃむーしゃ」と食べ始めた。 「「「うー!?」」」 驚くうーぱっく達。 目こそいつものニコニコ目だが、互いの顔を見合わせ少なからず動揺を露わにする。 そして、ゆっくりの中では、かなり頭の良い部類に入るうーぱっく達は、一つの結論を導き出す。 すなわち、このゆっくり達は、最初から自分達をいいように利用して騙すつもりだったのだと。 「「「うーっ!」」」 一同、抗議の声を上げるうーぱっく達。 温厚なうーぱっく達だが、契約不履行の不届き者には、相応の態度を見せる。 羽を動かし、ペチペチとれいむとまりさの頬を叩き、驚いた隙に食べ物を奪い去る。 「ゆゆっ! なにするの!」 「やめるんだぜ! それはまりさ達のものだぜ!」 「「「うーうー!」」」 構わず、同じようにペチペチとゆっくり達の頬を叩いては、食べ物を奪っていくうーぱっく。 ニコニコと笑ったままのその顔が、逆に恐ろしい。 「ゆっくりやめてね!」 「それはとかいはのアリスのものよ! いなかもの!」 「わからないよー!」 「ゆっくりできないうーぱっくは、ゆっくりいなくなってね!」 うーぱっく達の正当な抗議に、不満を叫び出すゆっくり達。 だが、空を飛び、しかも団体行動になれているうーぱっく達の連携に、 食べ物は次々奪われていく。 「「「ゆぅぅ~~! ドスまりさぁ~~!!」」」 たまらずドスまりさを呼ぶ、ゆっくり達。 そのドスまりさといえば、クィーンアリスとともに自分の食事をするのに夢中であった。 『……ゆぅ~~~? どうしたのみんなぁ?』 言われるまで気づかないというのが、いかにもゆっくりらしい。 ドスまりさは、しばらく間を置いてから、ようやくゆっくり達に呼ばれていることに気が付いた。 『ゆゆぅぅぅっ! なにしてるのうーぱっく!!』 その光景を見て、驚くドスまりさ。 自分の群れのゆっくり達が、うーぱっくに虐められ、 苦労して集めた御馳走を横取りされているではないか! ……と、ドスまりさのゆっくり脳は瞬時に都合良く解釈した。 しかし、いかなゆっくり脳の持ち主とはいえ、 くさっても巨体と長寿を誇るドスまりさ。 こうなると群れを率いるリーダーとして、都合良く燃え出すのであった。 『ゆぅぅぅっっ!』 「う~?……うぎゃ!」 ドスまりさは、ぐにょんと体を下に押し込めたかと思うと、反動をつけて前方にとび跳ねる。 そして、目の前にいたうーぱっくに体当たりをしかけ、窪地の周囲の岩壁に叩きつけた。 「「うーっ!?」」 驚いたのは、うーぱっく達。 通常、ドスまりさは巨体に見合った経験と知識も併せ持っており、 今回の件の非がどちらにあるかは、自ずとわかってもらえると期待していたのだ。 『うーぱっく! まりさの仲間を一方的にいじめるなんて、絶対にゆるさないよ!』 「「ううーーー!??」」 全然、期待通りにはいかなかった。 戸惑い、慌てるうーぱっく達。 「むきゅ! まりさ、うーぱっく達は……」 『ぱちゅりーは黙っていてね! まりさはみんなを守るよ!』 うーぱっく達の抗議の理由を知るぱちゅりーが、ドスまりさを止めようとするが、 変な使命感のスイッチが入ってしまったドスまりさは止まらない。 このドスまりさは、確かに長い時間を生き、ドスの名にふさわしい巨体と力を得ていた。 だが、本来一人で生きて得るはずの知識や思慮を幼なじみのぱちゅりーの頼りっぱなしにしてきたため、 どうにも考えの足りないドスまりさになってしまっていた。 「「うーっ!」」 だが、うーぱっく達は、そんなことは知らない。 羽を動かし、自分達が運んできた食料を指す、うーぱっく。 なんとか自分達の誤解をといて、わかってもらおうとする。 『……わかったよ、うーぱっく』 「「うー♪」」 『うーぱっく達は、まりさ達を騙して食べ物を横取りするつもりだったんだね!』 「「うううーっ!???」」 全然わかってなぁーい! うーぱっく達は、全員が同時に心の中でツッコミの声をあげる。 『まりさ達をゆっくりさせないうーぱっくは、ゆっぐりじねぇぇぇぇぇっっ!』 ドスまりは天高く舞い上がり、その巨体を地面に叩きつける。 何匹かのうーぱっくが、その巨体の犠牲となる。 「「ううーっ!」」 これ以上ここにいてはいけない! うーぱっく達は身の危険を感じ、一目散に空高くへ舞い上がる。 「「うわぁぁーん! ドスまりさなんてきらいぃぃー!」」 自分達の誇り高い仕事が失敗に終わったこと、 つらい時も楽しい時も一緒だった、大事な仲間を失ったこと、 うーぱっく達は、目から涙を流して飛び去っていく。 だが。 『逃がさないよ!うーぱっく!……ひぃぃ~~~~っさつ!』 ドスまりさは、大きな口を思い切り開く。 すると口の中から淡い光がもれはじめ、瞬く間にまぶしい程の輝きを放ち始める。 「ゆゆっ!出るよ、ドスまりさの必殺技!」 「やっちゃうんだぜドスまりさ! バカなうーぱっくどもに身の程わからせてやるんだぜ!」 『すてきよぉぉまりさぁぁぁ!』 「む、むきゅう~!だ、だめよぉ、まりさぁ!」 事情を理解しているぱちゅりーを除いて、俄然もりあがるゆっくり達。 クィーンアリスに至っては、ドスまりさの勇姿に目をトロ~ンとさせている。 『ひっさつ!ドスパァァァーク!!』 「う、ううぅぅぅぅぅーーーっ!」 叫ぶと同時にドスまりさの口からレーザーが発射される。 そのレーザーは空を切り裂き、泣きながら逃げ去るうーぱっく達を直撃した。 超高温のレーザーは、ダンボールでできたうーぱっくの体を一瞬で焼き尽くし、 そらからは燃えかすとなったうーぱっく達がボトボトと地面に落ちていく。 「「「ゆぅぅぅ! すごぉぉぉーい!」」」 その圧倒的な威力に、群れ全体から感嘆の声があがる。 ドスまりさは群れのゆっくり達にむき直り、誇らしげに胸(?)をはった。 『みんなのことはまりさが守るよ! だから安心してゆっくりしてね!』 「「「ゆっくりぃぃ~~~♪」」」 喜びの声をあげるゆっくり達。 ただ一人、ぱちゅりーだけが浮かない顔して、岩の隙間の洞窟へと入っていく。 「むきゅう……」 今回の件の非は、あきらかにこちらにある。 なにか悪いことが起きなければよいけれど……。 その不安からか、ぱちゅりーは体に疲れを覚え、洞窟の奥で眠りについた。 けれど、このぱちゅりーの予感は、すぐに当たることになってしまう。 数時間後。 空には満月が登り、本来ならばゆっくり達も眠りにつく頃。 だが、山間の窪地では、いまなお多くのゆっくり達が食べや歌えやで大騒ぎをしている。 「ゆっゆっゆっ~~♪」 「だぜだぜだぜぇ~~♪」 『すごぉーい! みんなお歌が上手だねぇ!』 『さすがとかいはのアリスの子! 良いセンスをしてるわぁ!』 昼間の一件で、すっかりテンションの上がってしまったドスまりさの群れは、 あれからずぅ~と宴会を開いていた。 もはや、ぱちゅりーとの"冬の支度のために食べ物をとっておく"という約束は、頭の中になかった。 ゆっくり食べてはゆっくり踊り、ゆっくり食べてはゆっくり歌う。 「ゆゆゆ~~ゆゆゆ~~♪」 「だぜだぜ~~だぜだぜ~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆっ?』 ドスまりさは疑問に思った。 今、群れのれいむ達の歌に混じって、何か聞こえたような? 「ゆゆゆゆ~ゆゆゆゆ~ゆっゆっゆっ~~~♪」 「だぜぜ~だぜぜ~だっぜっぜぇ~~~♪」 「……ティ~ガティガティガ♪」 『ゆゆっ!?』 「「「ゆゆゆっ!?」」」 やはりだ。 気のせいじゃない。 今度はドスまりさだけじゃなく、他のゆっくり達にも聞こえたようだ。 ゆっくり達は、ひとまずバカさわぎを止め、あたりを見回す。 だが、本来夜の間は寝るのが"殆どの"ゆっくり達の生態のため、 ゆっくりの中で夜目が効く者はほとんどいない。 が、それにも関わらず。 ソレの存在はゆっくり達にもハッキリ視認できた。 『あれは、ゆっくりゃザウルス!!』 一番最初にみつけたクィーンアリスが叫び、それに呼応して他のゆっくり達もそちらを見る。 ゆっくり達の視線の先。数百メートルは離れた位置。 そこには、よたよたドタドタ踊るようにステップを踏み、ゆっくり達に近づいてくる不思議な生物がいた。 長生きをしていたクィーンアリスと、ドスまりさは、己の経験に基づきその生物をこう認定した。 あれは、ゆっくりゃザウルスだと。 ゆっくりゃザウルス。 それは、代表的な捕食種・ゆっくりれみりゃの亜種である。 亜種という意味では、昼間ドスパークの餌食になったうーぱっく達もそうだが、 近年比較的多く見かけるようになったうーぱっく達と異なり、 ゆっくりゃザウルスは、非常に見かけるのが希な亜種……即ち希少種であった。 その姿は、人間からみれば愛らしくも映る。 体つきのゆっくりれみりゃが、ダボダボくたくたの恐竜の着ぐるみを纏ったような姿。 それが、ゆっくりゃザウルスの特徴だった。 ずいぶんとディフォルメされた緑色の恐竜の、大きく開かれた口から、 れみりゃ種特有の「うーうー♪」という下ぶくれ気味の笑顔が覗いている。 体は筋肉質とは程遠く、まるでクッションかヌイグルミのような柔らかさで、 お腹のあたりに、有袋類…といえば聞こえが良いが、どう見ても縫いつけたような大きなポケットがある。 「ゆゆゆゆ~!大変だよ!れみりゃだよ!」 あれが、自分達を食べる捕食種の一種だと知り、慌てるれいむ。 「ま、まりさはおいしくないぜ! たべるなられいむの方がおいしいんだぜ!」 「どぉじでぞんなごどいうのぉぉぉーーっ!?」 にわかに群れに広がるパニック。 だが、ドスまりさがそれを鎮める。 『大丈夫! 安心してよみんな!』 「ゆゆっ?」 「わかるよ~! こっちにはドスまりさがいるんだよ~!」 『まりさとアリスにとって、ゆっくりゃザウルスなんて敵じゃないよ!』 そう言って笑顔を向けるドスまりさ。 「なんて頼もしいんだ!」群れのゆっくり達は、ドスの笑顔に安心して落ち着きを取り戻す。 『まりさとアリスは、もっと小さき時に……それこそみんなと同じくらいの時に、 ゆっくりゃザウルスを倒したことがあるんだよ♪』 「「「すっごぉ~~~い!」」」 再びあがる感嘆の声。 それを誇らしげに受け止めるドスまりさ。 ドスまりさの言ったことは確かに事実であった。 ……もっとも、ゆっくりゃザウルスのことを良く知るものが聞けば、 それが大した自慢にならないこともわかるのだが。 ゆっくりゃザウルスは、確かに希少種だ。 だが、希少なのには理由がある。 すなわち、ゆっくりゃザウルスは、れみりゃ種の中でも"最も弱い"種類だからだ。 亜種の多い、ゆっくりれみりゃだが、一応それぞれに進化と思われる特徴を持っている。 体が無く、耳のあたりに羽をつけているタイプは、れみりゃ種の中でも最もバランスが良い。 飛行能力も高く、蝙蝠やイルカにも似たエコーロケーション能力を持っており、 暗い場所でも自由自在に動くことができる。 うーぱっくは、敏捷性や攻撃能力では上記のれみりゃに劣るものの、 そのぶん他の物(者)を上に載せて飛ぶ能力にすぐれている。 また、協調性に優れ、ゆっくり達の運送屋さんとしての地位を確立することで、 自然界の中で主立った敵を作らず、共生関係を築き上げていた。 胴体と四肢のついたれみりゃは、紅魔館のすぐそばでよく見かけられる。 重たい体がついたのが逆効果となり、飛行能力・運動能力は明らかに低くなっているが、 それでも(極めて不器用ではあるが)手足が使えるメリットは大きいし、 なにより紅魔館の主の姿と似ているために、館のメイド達から寵愛を受けられるという面もある。 ……では、ゆっくりゃザウルスはどうか? 悲しいかな、これといって優れた点が無いのだ。 背中から羽は失われ、空を飛ぶことはできない。 手足や指先は恐竜のヌイグルミ状になっているため、細かい作業も全くできない。 ずんぐりむっくりした体は重たく、生きる上で極めて燃費効率が悪く、すぐ疲れてしまう。 おまけに、なまじ体が重くなったぶん、本人は強くなったと勘違いし、無駄に気が大きくなる傾向がある。 では、なぜそんなにも不都合だらけのゆっくりゃザウルスへと姿を変える必要があるのか。 それは、ゆっくりの研究者達の間でもまだ解明されていない。 いずれにせよ、そんなゆっくりゃザウルスであるが故に、 本来獲物であるはずのゆっくり達に、逆に返り討ちにあってしまうこともままあるのだ。 まして、ドスまりさとクィーンアリスからみれば、 逆に向こうから美味しい肉まんがやって来たようなものだ。 「ティ~ガティガティガ♪」 歌いながら、えっちらおっちら満面の笑顔で歩いていくるゆっくりゃザウルス。 その声が、徐々にはっきり聞こえてくる。 『ゆぅ~♪ みんな、今日はおいしい肉まんがたべられるよ♪』 「「「わぁ~~い♪」」」 余裕のゆっくり達。 しかし、その余裕がゆっくり達に、本来気付くべき疑念を忘れさせてしまっていた。 なぜ、数100メートルも先のゆっくりゃザウルスを、夜目の効かないゆっくり達が見えているか。 なぜ、まだまだ遠くにいるはずのゆっくりゃザウルスの歌が、こんなにもハッキリ聞こえるのか。 そして、なぜゆっくりゃザウルスが近づいてくるたびに、地面がドシンドシンと揺れるのか。 数秒後、ゆっくり達は嫌がおうにも、その理由をわからされることになる。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 「「「『ゆげぇっ! お、おおきぃぃぃぃっっっ!!??』」」」 目の前まで来て足を止めたソレを見上げ、一同に驚愕の叫びをあげるゆっくり達。 ドスまりさとクィーンアリスさえ、呆気にとられてソレを見上げている。 身長はゆうに10メートルを越え、尻尾の部分をあわせた全長は20メートルにも届かんほどだ。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~♪』 ソレは、自らがれみりゃ種であることを示すように、自らの存在を知らしめるように、 両手を顔の横に上げ、れみりゃ種特有の"れみりゃダンス"を行った。 「「「ゆゆゆゆっ!」」」 ソレがダンスのステップを踏む度、地響きが起こり、小さなゆっくり達を震えさせる。 『や、やめてよね!ゆっくりゃザウルスのくせに、まりさ達をおどかさないでね!』 ぷく~と頬を膨らませ、見上げるソイツに告げるまりさ。 一方、そのれみりゃは不思議そうに、首をひねった。 『う~? ゆっくりゃザウルス?』 『そうだよ! おまえのことだよ! 自分のこともわからないなんて、ゆっくりゃザウルスは本当にバカなんだね!』 『うーうー! れみりゃはぁー、ゆっくりゃザウルスじゃないどぉー♪』 『え?』 『れみりゃはぁ~♪』 にぱぁ~☆と満面の笑顔を浮かぶ。 『ティガれみりゃだどぉー♪』 そう、この巨大なれみりゃは、ゆっくりゃザウルスではなかった。 圧倒的な巨体と力を持つ、ドス種を越える超巨大・突然変異ゆっくり、ティガれみりゃだったのだ! 『……ティ、ティガれみりゃだなんて知らないよ! バカなれみりゃはおとなしくまりさ達に食べられてね!』 巨体にプレッシャーを感じつつ、あくまで虚勢を張るドスまりさ。 他のゆっくり達も、ドスまりさなら負けるハズないと、徐々に落ち着きを取り戻していく。 「そうだよ! ばかなれみりゃはゆっくり死んでね!」 「ドスが、おまえなんかに負けるわけないんだぜ!」 ゆっくり達が、わーわーと騒ぎ立てる。 それ見回してニコニコするティガれみりゃ。 『うー♪ おいしそうなおまんじゅうがいっぱいだどぉー♪』 そう言うと、ティガれみりゃはクィーンアリスを片手で掴み上げ、口の前へと運ぶ。 『ゆぅ!?』 「クィーンアリスが!」 「おとなしくアリスを離すんだぜ!」 あっさりつかまってしまった群れのナンバー2に、ざわめくドスまりさとゆっくり達。 当のクィーンアリスは、頬を膨らませて、ティガれみりゃを罵っている。 『これだからマナーを知らないいなかものは! とかいはのアリスにこんなことしてただですむと思わないでね!』 そんなアリスをじぃ~っと見つめて観察するティガれみりゃ。 『うぅ~♪ よくみるとぶさいくなおまんじゅうだどぉ』 『ゆぎぎぎぃぃぃぃぃっ! とかいはのアリスに向かってよくもぉぉぉっ!』 逆上するクィーンアリス。 対するティガれみりゃは…… 『うー♪ うるさいおまんじゅうだどぉ♪』 と言ってから、そのまま「あ~~ん」と大口を開け、クィーンアリスにかぶりついた。 『ゆげぇぇぇぇぇえ!』 『あ、アリスゥゥゥッッッ!!』 たまらず断末魔を上げるクィーンアリスと、ドスまりさ。 クィーンアリスの体はたった一口で半分がえぐりとられ、その生命活動を停止させた。 『う~♪ がじがじ~♪』 そのまま美味しそうにクィーンアリスの残骸を食べ続けるティガれみりゃ。 2メートルあった、クィーンアリスの体も、数秒で消滅してしまった。 『うっうー♪ おいしかったどぉー♪』 舌をペロリと回し、口の周りについたクリームを舐めとるティガれみりゃ。 その光景を見ていたドスまりさの怒りは、既に限界を遙かに超えていた。 『ゆぎぎぎぎぎぎぎ……ゆ、ゆるさないっ、ぜぇったいにゆるさないぃぃぃぃっ!!!!!』 『う~?』 『ゆっぐりじないでじねぇぇぇぇぇぇ!!!!!』 「で、でるぜ! ドスの必殺技!」 『ドスパァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーク!!!!!!!』 ドスまりさは口を開け、高温のレーザーを放つ。 怒りにまかせて全ての力を結集したそれは、昼間うーぱっくを仕留めたのとは比較にならない程の出力となる。 夜の闇を、貫くドスパークの光。 これを受けて無事なゆっくりなどいるはずがない。 いや、人間はおろか妖精や妖怪とてただでは済むまい。 『……うぅぅぅぅぅ! アリスぅぅぅぅ、かたきはとったよぉぉぉぉぉ!』 嗚咽混じりで天に吠えるドスまりさ。 誰よりキレイだったクィーンアリス、彼女はお空のお星様になってしまったんだ。 ドスまりさとゆっくり達はそう思い、ドスパークの衝撃で巻き起こった土煙の先、 クィーンアリスのお星様を見ようと、夜空を見上げようとする。が。 『う~? なんかあったかいどぉ~…なんだか汗かいちゃったどぉ~♪』 「「「『ゆ、ゆげぇぇ!?』」」」 見えるハズのお星様が見えず、 見上げた先には、変わらずティガれみりゃが立っていた。 その体には傷一つなく、下ぶくれの笑顔に少し汗をかいているだけだった。 『どぉじでぇぇ! なんでドスパークがぎがないのぉぉぉぉぉっ!!??』 『う~、汗かいたら、またおなかすいちゃったどぉ~♪』 ティガれみりゃは、おなかのあたりをおさえ、少し頬を紅潮させた。 "こーまかんのれでぃーである"という自負からなのか、 食べてすぐ、またおなかをすかせることが恥ずかしいようだ。 とはいえ、そこはゆっくり。 恥じらいよりも、まずは欲求に従う。 そこはティガれみりゃといえど、変わらなかった。 『ぎゃぉー♪ いっただきまぁーす♪』 『ゆべぇ!!?? 、は、はなじてぇぇぇぇ!!!』 「「「どどどど、ドス!?」」」 足下ではねまわるドスまりさを難なく掴み上げると、口の前に運ぶティガれみりゃ。 『がじ、がじ、がじぃ~♪』 『ゆべっ!うげぇ!ゆぶぁ!!』 みるみるドスまりさの体は小さくなっていき、 10秒もたたずに、全てティガれみりゃの口の中に消えていった。 『う~、おいしぃ~♪』 「「「…………」」」 あまりにも信じられないことが起きた時、人は一切の思考が働かなくなる。 それは、ゆっくり達にもあてはまるらしい。 なすすべ無く食べられるドスまりさを目の当たりにした無数のゆっくり達は、 ただ無言のまま固まってしまっていた。 一方、ティガれみりゃはというと、お腹についたポケットの中に手をつっこみ、 何かをゴソゴソと取り出した。 『うっう~! すぴあ☆ざ☆ぐんぐにる~♪』 まるで、22世紀の猫型ロボットが便利道具を取り出すように、 ティガれみりゃはポケットから、引き抜かれた立ち枯れの木を取り出し、天に掲げた。 「「「ゆゆゆゆ!?」」」 誇らしげなティガれみりゃの様子に、本能的に身の危険を感じるゆっくり達。 金縛りをといて、それぞれ四方八方に逃げだそうとする。 『ぎゃおー♪ たーべちゃうぞぉー♪』 「「「ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁっっっ!」」」 ゆっくりプレイスだったハズの山間の窪地は、あっという間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 『れみりゃのおだんごぉー♪ とぉーってもおいしぃーどぉー♪』 ティガれみりゃは口ずさみながら、比較的大きめのゆっくりを摘むと、それを次々枯れ木に刺していく。 「「「ゆげぇ」」」 鳴りやまないゆっくり達の悲鳴。 あるゆっくりは岩陰や洞窟に逃げ込もうとするが、 ティガれみりゃは「うー、岩いらなーい!ぽいぽいぽぉーーい♪」と、 岩そのものを持ち上げどけて、隠れていたゆっくり達をつまみだした。 『うー、すごいどぉー! れみりゃは狩りの天才だどぉー♪』 やがて、そこそこ育って美味しそうなゆっくりを全て枯れ木に刺して、 ゆっくりだんごを完成させたれみりゃは、満足そうに自分を讃えた。 自分達は助かったのか? そう思った残りのゆっくり達は、おそるおそる隠れていた場所から外へでる。 『う~~~う~~~♪』 しかし、ティガれみりゃがリズムを刻みだしたのを見て、ゆっくり達は己の軽率さを憎み、 そして、短いゆっくり人生の終わりを実感するのだった。 『うっうーうぁうぁー♪ うっうーうぁうぁー♪』 どっすんどっすんと、喜びのダンスを踊るティガれみりゃ。 なんとかゆっくりだんごを逃れたゆっくり達も、あるものは踊るティガれみりゃの足や尻尾に潰され、 あるものは、ティガれみりゃのステップの影響で岩や土が崩落し、その餌食となった。 ゆっくり達の理想郷は、こうして壊滅した。 ……そう、一人の目撃者を除いて。 翌日。 ティガれみりゃの襲来をやりすごした目撃者。 その生き残りは、ティガれみりゃへの恐怖と、震えたまま動けなかった自分を呪い、 洞窟の奥から出ることが出来ずにいた。 「む、むきゅぅぅぅ……」 その生き残りの正体は、洞窟の最奥、もっとも地盤の安定した箇所に隠れていたぱちゅりーだった。 群れの全滅を嘆き、幼なじみのドスまりさとクィーンアリスの死を悲しみ、泣き続けるぱちゅりー。 昨夜、先に寝ていたぱちゅりーは、外が騒がしいのに気付き、一度は目を覚ました。 だが、外へ出ようとしたその刹那、ドスまりさがティガれみりゃに食べられるのを目撃してしまったのだ。 どうするべきか全くわからなくなってしまったぱちゅりーは、唯一残された生物としての本能、 すなわち"生き残る"という目的にのみ従って、こうして群れが全滅してティガれみりゃが去るまでの間、 隠れ続けていたのだ。 「むきゅぅぅぅぅ! むきゅうううううう!」 思い出しては、こみ上げる感情に逆らえず泣き崩れるぱちゅりー。 それから、また一日がすぎた。 朝日が山間の窪地を照らす中、ぱちゅりーは外へ出た。 その目に決意の炎を宿して。 二日近く考え抜いたぱちゅりー。 彼女は、ドスまりさ達の死を無駄にしてはいけないと考えた。 そして、生き残った自分だからこそ出来ることがあるはずだと結論づけた。 そう、他の群れにティガれみりゃという脅威を報せ、 ともに戦わなければならないと。 一方その頃、どこかの森で。 今日もティガれみりゃの歌が聞こえていた。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~♪』 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ2・異常震域』 ============================ (あとがき) 休日出社中、上司の机に『モンハン』のティガレックスのフィギュアが置いてありまして、 気付いたらこんなものを書き始めていました。……二次設定のSS書くの何年ぶりだろう(汗 「ゆっくり好き」+「れみりゃ好き」+「怪獣好き」+「モンハン好き」 そんな作者の妄執が具現化したようなSSですが、もし楽しんでいただけましたら幸いです。 ちなみに、言う必要も無いかもですが、ティガれみりゃの歌はアノ映画の歌が原型ですw ============================ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/tanosiiorika/pages/2766.html
邪眼魔竜ティガ・ゼペリオンⅠ世 R 闇/火 7 クリーチャー:アーマード・ドラゴン/デーモン・コマンド/ナイト 9000 ■マナゾーンに置く時,このカードはタップして置く。 ■リベリオン・デュエル RD- バトルゾーンにある相手のパワー4000以下のクリーチャーを全て,持ち主の山札の1番下に置く。 ■W・ブレイカー 戦場を打ち抜くのは,魔竜の放った破光の凄槍! 作者:かみど ナイト化したヘリオス・ティガ,素でミリオンが放てるようになり,送り先もデッキボトムへ。 多色であるためリベリオン・デュエル発動対象が広く,腐りにくい。 収録:乱極編(ジェネシック・ヒーロー)工事中だよ(´・ω・`) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ultrakaiju/pages/57.html
名前 総合 近接 遠隔 耐久 特殊 技巧 デモンゾーア 【S】 S SS C~SS C C ガタノゾーア 【A++】 B A~S S C B ゴブニュ(オグマ) 【A+】 B B~A A E C ゴルドラス 【A+】 B B C~B A A キリエロイドⅡ 【A】 A D A C C リガトロン 【A-】 B C B C B イーヴィルティガ 【A--】 B A B C C ゴブニュ(ギガ) 【A--】 B F B C A シルバゴン 【A--】 A F A F E デシモニア 【A--】 E B A D B メンジュラ 【A--】 A B C D C ウェポナイザー(1 2号) 【B++】 B C C B C エノメナ 【B++】 B D B C C ガルラ 【B++】 C C A E C ファルドン 【B++】 D D D A B レイロンス 【B++】 B C B E B キュラノス 【B+】 C F C B B キングモーラット 【B+】 B D C D C ゲオザーク 【B+】 C B D C B ゴルザ(強化) 【B+】 C D B~A C C ジョバリエ 【B+】 C C B E C ダーラム 【B+】 B B C D D ビザーモ 【B+】 E D B B B ヒュドラ 【B+】 B B C C E ヤナカーギー 【B+】 B F C D B キリエロイド 【B】 B C C E C ゾイガー 【B】 C D B C B バクゴン 【B】 D D D A C ファイバス 【B】 D F D B B マキーナ 【B】 C F C B C マグニア 【B】 C D C B B メタモルガ 【B】 B~A F C D C レギュラン星人 【B】 C B D D B ガゾート(Ⅰ Ⅱ) 【B-】 D D D C B ギジェラ 【B-】 C F C E C ギランボ 【B-】 C F D C B シーリザー 【B-】 E D D B D 宿那鬼 【B-】 C D D C C タラバン 【B-】 C D C C C イルド 【B--】 E D B E B ガギ(Ⅰ Ⅱ) 【B--】 C D D C D ガクマ(α β) 【B--】 D F D B C マノン星人 【B--】 C~B D D E C リトマルス 【B--】 C C D E D アボルバス 【C++】 C~B E D~C E C ゴルザ 【C++】 D C D E C ムザン星人 【C++】 C D D E C メルバ 【C++】 D D D D C エボリュウ 【C+】 D C D E D グワーム 【C】 D F D E C シーラ 【C-】 E D E D B ナターン星人 【C-】 E E D E D オビコ 【C--】 E E E D D レイビーク星人(ボス) 【D++】 F E F C C デバン 【D-】 F F E E D カミーラ 【データ不足】
https://w.atwiki.jp/0715/pages/9.html
モンスターハンターポータブルの情報・裏技・攻略・質問 ASINB000CN09TW.jpg 小技を発見しました。 運がよければできたりします。 小技その1 やり方 ①閃光玉を投げまくる。 結果…たま~に不発弾みたいに光らないときがある。 小技その2 やり方…の前に準備。 用意する物 1、プレイヤー2人 2、一人は大剣 やり方 ①闘技場クエストを受ける。 ②クエストが始まったら大剣でないほうがアイテムボックスの 前あたりに行きます。 ③その人を大剣で切り上げます。 結果…運がいいとボックスに入れたりします。 (できないときはいろいろと切り上げる位置を変えてください。) 落とし穴の小技(ある意味最強) -- リリス (2007-02-02 18 35 55) 必要な物 プレイヤー二人と落とし穴たくさん 1 まず普通に落とし穴を設置 2設置した方ではないほうのプレイヤーがそのエリアから出る。 3モンスターが落とし穴にはまる 4移動した方のプレイヤーが戻ってくると… -- リリス (2007-02-02 18 39 18) 結果 落とし穴のない場所にモンスターがはまりモンスターが出た瞬間に再度落とし穴出現。つまりひとつの落とし穴で二度はめられる。少しオトク -- リリス (2007-02-02 18 41 28) ミラバルカンと闘うにはどうすればいいんですか?? -- MHP (2007-03-04 21 57 33) ミラバルカンを倒すには友達を増やして神ヶ島やクロノスグレネードとかで撃ち殺せ!封龍剣 超絶一門も有効だが、ミラボレアスなれてないと当たって死ぬ -- リリス (2007-03-06 21 05 22) 3人〜4人で、みんな神ヶ島でlv2拡散弾撃ってたら死んだよ -- アカム (2007-05-20 23 59 05) ミラボは超絶でカベハメして乱舞しまくって終わり。 -- 誰誰 (2007-05-30 22 39 07) つらい -- ゴハ (2007-08-25 19 01 44) 2ndあきた -- たかし (2007-08-25 19 57 44) 荒らせ -- 達 (2007-08-25 23 05 48) わかた -- 駿 (2007-08-25 23 06 48) おーいたつゥー -- 駿 (2007-08-25 23 20 45) なんや -- 達 (2007-08-25 23 29 04) ケイタイ止められちゃうよ―-- 駿 (2007-08-25 23 32 09) いつ? -- 達 (2007-08-25 23 34 46) しらへん -- 駿 (2007-08-25 23 36 01) しらへん -- 達 (2007-08-25 23 37 26) しらへん -- 駿 (2007-08-25 23 38 19) 大室駿 -- きもしね (2007-08-25 23 45 58) 佐久間死ね死ね 佐久間死ね -- 佐久間死ね 佐久間死ね 佐久間死ね 佐久間死ね (2007-08-25 23 53 34) よ -- 達 (2007-08-25 23 59 56) 大室君生きてる? -- 達 (2007-08-26 00 03 01) 寝ろ -- 駿 (2007-08-26 00 06 55) 駿さんオタク -- 達べー (2007-08-26 00 11 15) ↑誰 -- 達 (2007-08-26 00 13 40) 朝ごはん -- 駿 (2007-08-26 00 20 06) キターww -- 名無しさん (2007-08-26 07 38 04) 名無しキモイ -- 駿 (2007-08-26 08 40 30) お疲れ帰ります! -- モーニング (2007-08-26 11 55 58) タツロウー -- 駿 (2007-08-26 13 03 53) テニス部です -- 2年6組大室駿 (2007-08-26 13 15 30) ストーカー!? -- 駿 (2007-08-26 13 16 57) 以上自作自演でした -- 駿 (2007-08-26 13 18 22) 佐久間死ね -- 佐久間 (2007-08-26 13 18 58) 死ね -- 達 (2007-08-26 13 19 29) サカモト -- 死ね (2007-08-26 13 20 26) 佐久間死ね佐久間死ね -- 駿 (2007-08-26 13 21 23) サカモト死ね死ね -- 佐久間 (2007-08-26 13 22 47) てかおまえら死ね -- 海老地理 (2007-08-26 13 25 54) 佐久間死ね死ねニート -- 駿 (2007-08-26 13 27 07) サカモト死 -- 佐久間 (2007-08-26 13 29 43) サカモトはげろ -- 佐久間 (2007-08-26 13 31 44)